2019年に「老後2000万円問題」が多くのメディアに取り上げられたことにより、一時は老後資金問題が話題となりました。
現在もなお、少子高齢化による年金不安や物価高が続きます。2023年10月25日に株式会社帝国データバンクが公表した『「上場外食主要100社」価格改定動向調査』によると、主要外食100社のうち「今年も値上げする」とした会社は4割になりました。
前年から16社減少したとはいえ、毎日の生活費が目に見えてかさんでいるという家庭も多いでしょう。このような状況から、「老後生活が不安」と感じている人も少なくありません。
現在の公的年金の受給開始年齢は原則65歳となりますが、果たして老後をまもなく迎えようとする「60歳代」の貯蓄は、2000万円に到達できているのでしょうか。
本記事では、貯蓄「2000万円以上」持っている60歳代の割合について、夫婦世帯・単身世帯それぞれの視点から解説していきます。
実際の貯蓄割合から「老後の貯蓄費用として2000万円は妥当なのかどうか」について、一緒に考えていきましょう。
60歳代の平均貯蓄額は2000万円に到達していない
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」によると、60歳代の平均貯蓄額は二人以上世帯・単身世帯それぞれで下記の結果となりました。
平均値は、極端に大きい数値がある場合、値が偏る傾向にあるため、一般的な貯蓄額の実態をしりたい方は中央値を参考にすると良いでしょう。
60歳代の二人以上世帯・単身世帯の貯蓄中央値をみると「700万円」「300万円」となっており、2000万円はおろか1000万円にも到達していないことがわかります。
平均値においても、二人以上世帯・単身世帯ともに2000万円には到達しておらず、「老後までに2000万円を貯蓄できている人は少数派」であることがうかがえます。
では具体的に、全体の何パーセントが「貯蓄2000万円以上」を達成しているのでしょうか。
二人以上世帯・単身世帯それぞれの貯蓄割合をみていきましょう。