「出張」というと、新幹線や飛行機に乗るような長距離移動をともなうケースを想像する人がいる一方、社外に出る業務はすべて出張だと考える人がいるなど、人(会社)によって様々なようです。

近年は交通費の節減や業務の効率化などを目的として、可能な限りスカイプやテレビ会議などに変更し、出張を減らしているという会社も多いでしょう。「無駄な移動が減る」と、こうした動きを歓迎する人がいる一方で「出かけて行って直接会うからこその気づきもあるのに」と感じている人がいるのもまた事実。

今回はこの両者の意見を聞いてみました。

「出張」とは

出張とは、とインターネットで検索すると、以下のように示されます。

しゅっ‐ちょう〔‐チヤウ〕【出張】

[名](スル)会社・役所などの仕事で、他の地域・場所に臨時に派遣されること。「米国に出張する」「出張手当」

コトバンクより引用(小学館「デジタル大辞泉」の解説)

ざっくり言えば「出張」とは「普段業務を行っている場所ではない場所に行くこと」といえます。ただし、宿泊をともなうのか日帰りなのか、長距離移動があるのかないのかなど、どのようなものを「出張」というのかは、会社によっても違うようです。

たとえば宿泊をともなったり、他の地方に行く場合のみ「出張」といい、近場の移動は「外出」としている会社もあれば、同一市内の移動でも、普段仕事をしている場所を離れる時はすべて「出張」という会社もあるようです。

「出張なんて時間の無駄」 ベンチャー企業経営者・A氏の主張

「出張も外出も昔から嫌い。新幹線のホームに行って座席に座る、という行為がすごく苦痛でした」と顔をしかめるのは、ベンチャー企業の経営者であるA氏。数年前に起業して以来、自宅で業務を行うことがほとんどで、外出を伴う業務は厳選しているといいます。その理由についてA氏は次のように語ります。

「今や情報はインターネットでいくらでも取れるし、意思疎通だってスカイプなどで十分図ることができます。『実際に現地に行って初めてわかることもある』と言う人は結構多いですけれど、1回行けば十分じゃないですか? むしろ資料やデータから情報が読み取れない言い訳じゃないかとさえ思ってしまいます」

「移動にかかる金銭的なコストというよりも、むしろ時間的なコストを無駄に感じる」というA氏。時間には限りがある。その貴重な時間を使うだけの意味がその場に行くことで得られるのかどうか、というのがA氏の場合、出張の必要性に対する一つの判断軸になっているといえそうです。

「歩き回ることで拾えるネタもある」 大手企業部長・B氏の主張

「最近はすぐに『出張の効果は、意味は』と問われるようになりましたけれど、そうやって効率ばかり求める風潮、どうなんでしょうか」、そうぼやくのは大手企業で部長を務めるB氏。

「時々支社などに顔を出すとすごくメンバーから喜ばれるんです」とB氏は語ります。実際に、その場で思わぬ相談を受けたりすることもあるとか。中には黙っていてもらっては困るというような内容もあるといいますが、直接会うからこそ話せること、思わず出る本音もあるのではないかとB氏は考えているようです。

「用事が済んだらすぐ帰ってこいというのもわからなくはないですが、道中にだって仕事のヒントがいっぱいあると思うんですよね。無駄と言われてもやってみないと無駄かどうかなんてわからないのかなあと。私は特に若い人には積極的に出かけて行ってもらいたいです」

「結局単なる息抜き、遊びになってしまうのでは」という指摘については「見極めが難しい」としつつも、出張を意味あるものにするのは本人、他人が評価するからおかしくなるのでは、というのがB氏の主張のようです。

まとめにかえて:大切なのは使い分け?

この両者の主張、それぞれ一理あるように感じられます。一方で、A氏は必要だと感じれば遠方でも出かけていくようですし、B氏もインターネットやテレビ会議を有効活用しているといいます。

もちろん所属する組織における「出張」の意味合いによっても異なる部分はあると思いますが、出張の要不要については、自分自身が当事者であるのかどうか、現地に出かけなければ解決しないことがあるのかどうかも含め、相手方や周囲をどのように説得し納得してもらうか、という点もポイントになるのかもしれません。皆さんは出張について、どのように感じていますか?

LIMO編集部