老後のお金に困る人の特徴2. 退職金を慣れない運用に回す

比較的よく見られるのが、退職金を一括で受け取り運用に回してしまうケースです。

東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」によると、退職金制度のある企業724のうち、一時金のみで支給する企業は525と、72.5%を占めます。

また一時金と年金の併用をする企業は164で22.7%。2つを合わせると、95.2%もの企業が退職一時金を支給しています。

給与の何倍にもなる退職金を一時金として受け取ると、その預け先に迷ってしまうものです。

例えば金融機関では、「退職金向け」とするプランが多数用意されており、相談に行ったその足で申し込んでしまうケースもあります。

補足として、退職金の運用自体は決して間違ったものではありません。近年では普通預金の金利が低いので、預けるだけではもったいないと感じるのも頷けます。

バブル期を経験した世代は、銀行に預けるだけで金利でお金を増やせていたため、同じような感覚を求めて運用を視野に入れることもあるでしょう。

ここで避けておきたいのは、「運用初心者が」「一括で」運用にまわしてしまうというケースです。

特に、直近で使う予定のお金を一括で投資に回すのはNGです。

住宅ローンの繰上げ返済や住宅のリフォームなどは、定年を迎えたタイミングで行うことが多いものです。

こうした費用まで投資に回してしまうと、損が出たときに一気に資産が下がってしまいます。運用は「分散」することが鉄則です。

また初心者は運用に不慣れなため、どうしても値動きに敏感になってしまいます。そして値下がりが続いても、「損をする」という感覚からなかなか売る決断ができません。

投資に慣れている方であれば売る決断も素早くできますが、その見極めが初心者には難しいため、損を拡大させるリスクが大きくなるのです。

インデックス投資などは長期で保有することが原則となるため、短期の売り買いに向いていません。値下がりが起きると、初心者は保有することに不安を抱えて解約してしまうケースもあるのです。

老後のお金に困る人の特徴3. 介護費用を用意していない

老後生活は、健康であることを前提に思い描くことが多いです。介護は誰もが考えておくべきことである一方、親やご近所の様子を見て何となくイメージするだけという方も多いのではないでしょうか。

しかし、介護の有様は時代の変化によりどんどん変化しています。

かつてのように、子ども世帯に介護を頼める人は少なくなりました。自宅介護が難しい今、今後も施設入居の割合は増えていくでしょう。

しかし、地域によっては空きがないこともしばしばあります。民間施設は費用が高く、一時金や月額費用も跳ね上がります。

こうした介護費用を「老後資金」として準備していない世帯では、突然の配偶者の介護費用に困ることが多いです。

生命保険文化センターによると、月々の介護費用は平均で8万3000円、介護期間は平均で5年1ヵ月です。

さらに一時的な費用として平均74万円がかかっていることを踏まえると、単純計算で夫婦2人で1000万円以上の介護費用を用意しておく必要があります。

お金を守れる方は、こうした費用を別で用意したり、民間の介護保険で備えています。

ただし、民間の介護保険は保険支払の条件が厳しいこともあります。掛け金を抑えて用意したいのか、それとも確実に現金で用意したいのかなど、ニーズに合わせて手段を考えましょう。