3. 「介護休業・介護休暇」ってどう違う?介護離職の前に活用したい2つの制度
介護離職を決断してしまう前に、まず検討したいのが「介護休業」や「介護休暇」などの公的な制度の活用ですね。厚生労働省のホームページを参考に、2つの制度の共通点と違い、それぞれの概要についても整理しましょう。
3.1 介護休業・介護休暇「2つの制度の共通点」
介護休業・介護休暇 対象となる家族の「範囲」
介護休業、介護休暇ともに、対象となる家族は「配偶者 (事実婚を含む) 、父母、子、配偶者の父母、祖父母、兄弟姉妹、孫」です。
介護休業・介護休暇 対象となる家族の「状態」
また、対象となる家族は「要介護状態(負傷、疾病または身体上もしくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)※」にあることが条件となります。
※「2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態」とは
介護休業・介護休暇ともに、介護保険の要介護認定を受けていない場合も対象となります。ただし、下記2つの条件いずれかを満たすことが必要です。
- 介護保険制度の要介護状態区分において要介護2以上であること。
- 座位保持、歩行などの日常動作、水分食事摂取や排せつ、意思の伝達や日常の意思決定、物忘れなどの状態など、定められた12項目における困難な状態が継続すると認められること。
3.2 介護休業・介護休暇の「大きな違い」
介護休業と介護休暇は、その取得の仕方に大きな違いがあります。
介護休業は通算で93日まで取得が可能で、数週間から数カ月「まとまった期間」お休みしたいときに活用できる制度です。一方、介護休暇は半日単位や時間単位でも取得が可能です。
以下で整理していきましょう。
3.3 介護休業
家族が介護を必要とする状態になったら、さまざまな手続きが必要になります。
地域包括センターやケアマネジャーへの相談や、介護サービスの手配などを行うには、ある程度まとまった時間が必要となるケースもあるでしょう。
介護休業は、仕事と介護を両立できる体制を整えるために、まとまった期間のお休みがとれる制度です。厚生労働省のホームページから介護休業の概要を見ていきましょう。
■介護休業「対象となる労働者」
- 対象の家族を介護する労働者(日々雇用を除く)
※パートやアルバイトなど、有期雇用の場合は、申出の時点で「取得予定日から起算して、93日を経過する日から6カ月を経過する日までに契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと」が必要条件となります。ただし、労使協定を締結している場合、一部対象外となる場合もある点には注意が必要です。
■介護休業「利用期間と回数」
- 対象家族1人につき3回まで、通算93日まで休業が可能
■介護休業「手続き方法」
- 休業開始予定日の2週間前までに、書面等により事業主に申出が必要
■介護休業中「収入はどうなる?」
雇用保険の被保険者で、一定の要件を満たす場合は、介護休業期間中に休業開始時賃金月額の67%の「介護休業給付金」を受給可能(※ハローワークへの確認が必要)
3.4 介護休暇
通院の付き添いやケアマネジャーとの面談など、短時間のお休みが必要なときに使えるのが「介護休暇」です。厚生労働省のホームページから介護休暇の概要を見ていきましょう。
■介護休暇「取得できる日数」
- 対象家族が1人の場合は、年5日まで
- 対象家族が2人以上の場合は、年10日まで
■介護休暇の詳細
- 時間単位での取得が可能(一部対象外のケースもあり)
- 労働基準法の「年次有給休暇」とは別に取得が可能。有給か無給かは会社の規定により変わる