実質賃金は伸び悩み
厚生労働省が2023年10月6日に発表した「毎月勤労統計調査」によると、2023年8月の実質賃金はマイナス2.5%でした。
実質賃金は、17ヵ月連続でマイナスとなっています。
そのため、賃金が物価の上昇に追いついていない状況が続いているといえるでしょう。
賃金水準が物価高に追いついていないため、家計が圧迫されている状況が続き、結果的に節約意識が高まり、消費に回らない可能性が高まります。
実際に、総務省が2023年10月6日に調査した「家計調査(家計収支編)2023年8月分」によると、2人以上の世帯における消費支出は29万3161円でした。
特に、食費の項目は9万1014円と11ヵ月連続でマイナスとなっています。
物価の高騰に対して賃金の伸びが追いつかず、食費を抑えている世帯が増えていると考えられます。
実質賃金は上がっていないので家計のやりくりも工夫が必要
正社員で見る平均給与と、実質賃金からみる家計の実態について解説しました。
正社員の平均給与は、過去と比べても上昇しています。
しかし、実質賃金をみるとマイナス2.5%で、物価の上昇に賃金の伸びが追いついていない状況です。
そのため、家計における支出を抑えている世帯が多くなっています。
支出を抑えるには、食費を削るだけでなく、固定費の見直しも必要です。
携帯代やインターネットの通信費を見直すほか、有料の動画配信サービスの解約といったサブスクの見直しも検討しましょう。
政府は、今後も継続して賃上げが行われるように、物価高への対策や中小企業への賃上げ支援を実施する見通しです。
今後、給与が物価の高騰を超えて伸びる状況となるのでしょうか。
引き続き、賃金や消費の動向について、注目していきましょう。
参考資料
- 帝国データバンク「景気動向調査(2023年9月)」
- 国税庁「令和4年分 民間給与実態統計調査」
- 日本労働組合総連合会(連合)「2023春季生活闘争まとめ」
- 厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和5年8月分結果速報」
- 総務省統計局「家計調査(家計収支編)調査結果 2023年(令和5年)8月分」
川辺 拓也