「おひとりさま女性」と聞いても、パートナーがいたり、まだ年齢が若かったりする場合は、あまりピンとこない方もいるかもしれません。

しかし、「人生100年時代」といわれるようになった現代では、生涯のうちで家族の形は変化していきます。

厚生労働省の「令和4年簡易生命表の概況」では、2022年時点の男性の平均寿命は「81.05年」、女性の平均寿命は「87.09年」となっており、男性よりも女性のほうが長生きする傾向にあります。

男性よりも寿命が比較的長い女性は、来たるべき時を想定して、「おひとりさまの老後生活」について一度は考えておく必要があります。

そこで本記事では、おひとりさま女性の「老後生活までに知っておきたい」年金月額や生活費について解説していきます。

1. 高齢者のおひとりさま世帯の「6割が女性」

厚生労働省の「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」によると、65歳以上の単独世帯(おひとりさま世帯)を男女別で見た場合、男性が35.9%、女性が64.1%という結果となりました。

おひとりさま女性を年齢別に内訳を見てみると、下記のようになっています。

  • 65~69歳:13.3%
  • 70~74歳:21.6%
  • 75~79歳:20.3%
  • 80~84歳:20.6%
  • 85歳以上:24.1%

年齢が上がるにつれて「おひとりさま女性」が増加傾向にあることから、生涯独身の女性以外に、夫婦世帯の女性においても老後にひとり世帯になる可能性が高いとうかがえます。

女性であれば誰しもが「おひとりさま」として老後生活を送る可能性はあるため、自分事として認識し、今のうちから老後の準備をしておく必要があります。

2. 【厚生年金】おひとりさま女性が受け取れる平均月額はいくら?

老後の主な収入源は「年金」となることから、自分の受け取れる年金月額を把握しておくことが大切です。

厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、おひとりさま女性が受け取れる、厚生年金の受給額を確認していきましょう。

厚生年金は、主に公務員や会社員などが加入するもので、保険料は年金の加入期間や過去の報酬等に応じて受給額が決定するため、受給額に個人差が生じやすいです。

厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、女性の厚生年金(※国民年金の受給額を含む)の受給額割合は下記のようになっています。

女性の厚生年金の平均受給額は「10万4686円」となっており、ボリュームゾーンは「8万円以上10万円未満」となっています。

男性の平均月額と比較すると、受け取れる月額が低い傾向にありますが、現役時代の加入時期や加入期間などによって受給額が変わるため、実際には平均より多く受け取れる女性もいるでしょう。

特に近年では、厚生年金の適用対象の拡大を進めており、扶養内のパート主婦でも一定の条件を満たせば、厚生年金の社会保険に加入ができるようになりました。

そのため、「年金を多く受け取りたい」という方は、今一度働き方の見直しをしてみるのもひとつでしょう。

3. 【国民年金】おひとりさま女性が受け取れる平均月額はいくら?

次に、おひとりさま女性が受け取れる「国民年金」も同資料から確認していきましょう。

国民年金は、原則日本に住む20歳から60歳未満の方が加入するもので、保険料は一律となっています。

厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、女性の国民年金の受給額割合は下記のようになっています。

女性の国民年金の平均受給額は「5万4346円」となっており、厚生年金の平均受給額と比較すると、約1/2ほどの受給額しか受け取れません。

「国民年金を満額受け取りたい」という方は、年金保険料の納付月数によって受給額が変動するため、過去に未納がある場合は追納をすると良いでしょう。

さらに国民年金は、付加保険料を納付することで年金受給額が増加するため、余裕がある場合はこちらもあわせて検討すると良いでしょう。

「自分の受け取れる年金月額をより詳細に知りたい」という方は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」を利用して、自身の受け取れる受給額を確認してみることをおすすめします。

4. 額面どおりにもらえるわけではない?年金からの天引きに注意

前章では、おひとりさま女性が老後に受け取れる「年金の平均月額」を紹介していきましたが、実は額面通りの金額が全て受け取れるわけではありません。

日本の公的年金は、現役の時と同様に「税金」や「社会保険料」が天引きされた後に、年金受給者に振り込まれるため、実際の手取り額は額面よりも少なくなるケースが多くなっています。

厚生年金・国民年金から天引きされるお金は、下記4種類となっています。

  • 所得税と復興特別所得税
  • 個人住民税
  • 介護保険料額
  • 後期高齢者医療保険料、国民健康保険料(税)

年金から天引きされるお金については、各自治体で詳細に掲載しているところもあるため、気になる方はお住まいの自治体のホームページを確認してみましょう。

4.1 年金からいくら天引きされる?生活に使える費用

では最後に、「実際に年金から天引きされる平均額」と「おひとりさまで老後を迎えた際の生活費」について紹介していきます。

総務省の「家計調査報告 家計収支編 2022年(令和4年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯の家計収支は下記のようになっています。

「非消費支出」にあたる部分が「税金・社会保険料」といった天引きにあたり、約1万2000円が年金から天引きされていることがわかります。

65歳以上単身世帯の平均的な消費支出は「14万3139円」となっており、おひとりさま女性の場合、年金だけでは赤字になる可能性が大いに想定できます。

上記は日々の生活の最低限の消費支出であり、ここからさらに医療費や介護費用、家の修繕費といった支出も考えられるため、安心した老後生活を送るためには年金以外の備えも必要になってくるでしょう。

5. 今からできる老後の備えをしておこう

本記事では、おひとりさま女性の「老後生活までに知っておきたい」年金月額や生活費について解説していきました。

女性は男性よりも平均寿命が長いことから、どのような世帯であっても「おひとりさま女性」として老後を迎える可能性は男性よりも高い傾向にあります。

女性の受け取れる年金の平均月額は、厚生年金で約10万円、国民年金で約5万円となっていることから、年金だけで生活していくのは少々厳しいように思えます。

年金受給額をアップさせたり、年金以外の備えをしたりすることは、今からでも出来る老後対策になるため、まずは自分の年金月額と想定される生活費を把握し、不足分をどう補っていけばいいかを、考えられると良いでしょう。

参考資料