今年は戦後78年でした。

ということは、いまの70歳代は戦中生まれ、もしくは戦後の混乱期に生を受けた世代、ということになります。いわゆる団塊世代もここに含まれます。

社会が様変わりしていく中で、家族の形も大きく変化してきました。そしていま、高齢の単身世帯が増えているようです。

ひとり暮らしのお年寄りの懐事情はどうなっているのでしょうか。今回は70歳代の単身世帯にフォーカスして、貯蓄や年金額、そして働き方を見てみましょう。

1. 増える「おひとりさま」シニア

厚生労働省の「2021(令和3)年国民生活基礎調査の概況」によると、2021年時点の65歳以上の高齢者世帯のうち、ひとり世帯(単身世帯)の割合は、28.8%と約3割を占めていることが分かりました。

出所:厚生労働省「2021(令和3)年 国民生活基礎調査の概況」

1986年時点の「単独世帯」は13.1%、「三世代世帯」は44.8%。

2021年時点の「単独世帯」は28.8%、「三世代世帯」は9.3%と、約40年間で大きく変化しました。

高度経済成長とともに核家族化が進んだことに加え、未婚率の上昇、高齢化などにより、おひとりさまシニアが増えていると考えられます。

さて、おひとりさまで過ごす年金暮らしにおいて「お金」は強い味方となるでしょう。おひとりさまシニアのお金事情とはいかほどか、覗いていきます。

2. 70歳代「おひとりさま」シニアの貯蓄額の中央値は?

厚生労働省が2023年7月28日に公表した「令和4年簡易生命表の概況」によれば、日本人の平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳です。

「人生100年時代」といわれていますが、少しずつ現実味を帯びてきたように思いませんか。

この長い老後生活。70歳代のおひとりさまは、どのくらいの貯蓄額をもって過ごしているのでしょうか。

2.1 70歳代「おひとりさま」シニアの貯蓄額の中央値は485万円

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果」から、70歳代「ひとり世帯」の貯蓄額を見ていきましょう。

出所:金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和4年調査結果」をもとにLIMO編集部作成

【70歳代おひとりさま世帯の金融資産保有額 平均と中央値】

  • 平均:1433万円
  • 中央値:485万円

【70歳代おひとりさま世帯の金融資産保有額 金額階層別の割合】

  • 金融資産非保有:28.3%
  • 100万円未満:5.2%
  • 100万円~200万円未満:4.0%
  • 200万円~300万円未満:4.2%
  • 300万円~400万円未満:4.6%
  • 400万円~500万円未満:3.0%
  • 500万円~700万円未満:8.8%
  • 700万円~1000万円未満:4.8%
  • 1000万円~1500万円未満:5.6%
  • 1500万円~2000万円未満:5.8%
  • 2000万円~3000万円未満:8.2%
  • 3000万円以上:16.1%
  • 無回答:1.2%

70歳代おひとりさまシニアの貯蓄額は、平均:1433万円・中央値:485万円と大きな乖離が見られます。

平均値は一部の大きな数値により引き上げられていると考えられますので、ここでは、より実態に近いとされる中央値を参考としておきましょう。

中央値は485万円ですが、金額階層別の割合を見ると、貯蓄がある人・ない人で二極化しているのが見てとれます。