厚生労働省の「令和4年簡易生命表の概況」によると男性の平均寿命は81.05歳、女性は87.09歳です。

一般的に女性は男性より長生きで、女性の公的年金は男性より少ない傾向にあります。

そのため、セカンドライフで夫に先立たれてからの妻の生活についても考えておくことが必要です。

今回は年金受給開始後の65歳以降に夫に先立たれた妻の公的年金を試算し、一人暮らしの高齢女性の生活費も紹介します。

1. 65歳以降に夫と死別した妻が受け取れる公的年金

最初に65歳以降に夫と死別した女性が受け取る公的年金について、確認しておきましょう。

1.1 夫が自営業だった場合

夫が自営業者で国民年金にのみ加入していて妻の年金も国民年金のみの場合、65歳以降に「子」がいれば遺族基礎年金を受けられます。

この場合の「子」とは、以下のいずれかを指します。

  • 18歳になった年度の3月31日までの子ども
  • 20歳未満で障害等級1級または2級の子ども

65歳以上で上記のような子どものいる人は少ないでしょう。よってこのケースで妻が受け取れるのは、自分の老齢基礎年金のみと考えられます。

1.2 夫が会社員で妻が専業主婦だった場合

夫が会社員・公務員などの給与所得者で妻が専業主婦だった場合、妻自身の老齢基礎年金と夫の遺族厚生年金を併せて受給できます。

遺族厚生年金の年金額は、夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。

1.3 夫婦ともに会社員だった場合

夫婦ともに給与所得者の共働きだった場合、妻の老齢基礎年金と老齢厚生年金と夫の遺族厚生年金を併せて受給します。

ただし、遺族厚生年金から老齢厚生年金に相当する額は支給停止となる仕組みです。

遺族厚生年金より老齢厚生年金の年金額が高い場合は、遺族厚生年金は全額支給停止になります。

つまり、妻の老齢厚生年金が夫の老齢厚生年金より高い場合、遺族厚生年金は受け取れないのです。

遺族厚生年金の額は以下のうち、いずれか高い金額となります。

  • 夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3
  • 夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の2分の1と妻の老齢厚生年金の2分の1の合計