3.1 夫が自営業だった場合
夫が自営業者だった65歳以上の妻が受け取るのは自分の老齢基礎年金のみで、平均月額5万4346円です。
平均的な消費支出との差額は9万4625円の赤字となります。
仮に妻が90歳まで生きる場合、65歳から25年分の不足額の合計は2838万7500円です。
3.2 夫が会社員で妻が専業主婦だった場合
夫が給与所得者で妻が専業主婦だった場合、夫の遺族厚生年金額は以下のとおりです。
10万9993円 × 3/4 = 8万2494円
妻の老齢基礎年金額との合計は13万6840円(8万2494円+5万4346円)となり、平均的な消費支出との差額は1万2131円の赤字となります。
妻が90歳まで生きる場合の65歳から25年分の不足額の合計は、363万9300円です。
3.3 夫婦ともに会社員だった場合
夫婦ともに給与所得者の共働きだった場合、遺族厚生年金の額を計算します。
夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の2分の1と妻の老齢厚生年金の2分の1の合計:(10万9993円× 1/2)+(5万4915円× 1/2)=8万2454円
夫の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3は8万2494円( >8万2454円 )であり、遺族厚生年金額は8万2494円となります。
このうち、支給されるのは妻の老齢厚生年金との差額2万7579円(8万2494円-5万4915円)です。
妻の老齢基礎年金と老齢厚生年金と遺族厚生年金の合計は13万6840円(5万4346円+5万4915円+2万7579円)で、平均的な消費支出との差額は1万2131円の赤字となります。
妻が90歳まで生きる場合の65歳から25年分の不足額の合計は、363万9300円です。
4. 遺族年金の受取額を早めに把握しましょう
夫婦世帯の年金は世帯単位が前提で、どちらかが亡くなってからについて考えていない人もいるのではないでしょうか。
しかし、(人間の寿命には個人差はありますが)男女の平均寿命には約6年の差があり、妻一人の生活についても想定しておく必要はあります。
夫婦二人の老後の生活費の不足分と、どちらかが一人になってからの不足分を把握したうえで老後資金準備を考えることが大切です。そのため、遺族年金の受取額を早めに知っておきましょう。
参考資料
- 厚生労働省「令和4年簡易生命表の概況」
- 日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」
- 総務省「家計調査年報(家計収支編)2022年(令和4年)」
- 厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
松田 聡子