2023年10月、生活保護における食費や光熱費に充てる「生活扶助」の基準額が変更となりました。

世帯員一人当たり月額1000円を加算するほか、現行の基準額から減額になる世帯には現行の基準額が保障されるとのことです。

生活保護は、特に高齢者の受給割合が増えていますが、どれくらいの割合を占めているのでしょうか。今回は、高齢者世帯の生活保護と、60歳以上の貯蓄事情を解説します。

60歳以上の貯蓄はいくら?(平均額と貯蓄ゼロの割合)

60歳以上の貯蓄額を平均値でみると、単身世帯と2人以上の世帯で以下の通りになりました。

  • 60歳代:2人以上の世帯 1819万円 単身世帯 1388万円
  • 70歳代:2人以上の世帯 1905万円 単身世帯 1433万円

また、貯蓄のない割合を見ると、以下の通りです。

  • 60歳代:2人以上の世帯 20.8% 単身世帯 28.5%
  • 70歳代:2人以上の世帯 18.7% 単身世帯 28.3%

以上から、貯蓄ができている人と、そうでない人にはっきりと分かれている状況になっています。

貯蓄がない人の場合は、公的年金で生活している可能性が高いですが、年金だけでは生活できず、生活保護を受給している割合が高くなっているといえるでしょう。

では、実際に生活保護を受給している割合はどれくらいなのか、確認してみましょう。

生活保護の受給実態

厚生労働省が2022年6月3日に公表した「生活保護制度の現状について」によると、65歳以上の受給者は増加し続けています。

生活保護を受給している世帯は約164万世帯となっていますが、65歳以上の受給者は全体の半数以上となっています。

高齢者世帯の生活保護が年々増加している理由

高齢者世帯で生活保護が増えている理由は、以下の理由が考えられます。

  • 物価高による経済的な困窮
  • 公的年金の受給が少ない
  • 病気による急な出費

それぞれの理由について確認してみましょう。

物価高による経済的な困窮

物価高によって経済的に困窮した高齢者が、生活保護を受給しています。総務省が2023年9月22日に発表した「消費者物価指数」によると、生鮮食品を除く総合指数は105.7となりました。

2022年8月と比べると3.1%上昇しており、日々の生活にかかる負担が重くなり続けています。

高齢者は、年金や退職金といった限られた資産の中で生活をやりくりする必要があるので、物価高は生活に大きな影響が及ぶでしょう。

以上から、物価高による家計への負担が重くなったことで、生活保護を受給している人が増えていると考えられます。

公的年金の受給額が少ない

公的年金の受給額が少ない点も理由に挙がるでしょう。特に、自営業者やフリーランスだった人は、国民年金からの受給しかありません。

実際に、厚生労働省が2022年12月に発表した「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2021年度における国民年金の受給平均額は、5万6368円でした。

厚生年金の加入者に比べて、年金の受給額が低い国民年金の受給者は、生活に困窮する可能性が高くなり、結果として生活保護に頼らないといけません。

公的年金の受給額も、生活保護の受給に関係しているといえるでしょう。

病気による急な出費

病気による急な出費で生活するお金がないため、生活保護を利用する可能性もあるでしょう。

高齢者は病気になるリスクが高まるため、治療や入院にかかる費用を貯蓄からまかなう必要があります。

治療が長引けば、生活するための費用がなくなり、結果的に生活保護に頼らないといけないリスクが高いです。

以上から、年金が少ないことだけでなく、物価高や病気による支出の増加も、生活保護の利用に関係しているといえるでしょう。

今後の生活保護は増える見通しなのか

高齢者世帯は、仕事を継続して収入を得にくくなる世代です。そのため、老後の生活費が不足しやすくなります。

貯蓄の切り崩しで一時的にまかなえるかもしれませんが、老後に向けて貯蓄や資産形成が行えなかった高齢者世帯は、支出と収入の差が埋まらず、生活保護に頼らざるをえなくなるでしょう。

昨今では、物価高による家計の圧迫も問題となっているので、生活保護の受給も上昇する可能性が高いです。

年金制度の変更や、高齢者が生活保護を受給しなくても良い環境の整備が必要になるでしょう。

参考資料

川辺 拓也