日本では、20歳になると国民年金の被保険者となるため、保険料を納付することになります。学生の方でも例外ではなく、20歳になれば「国民年金加入のお知らせ」が届き、保険料の納付が開始されます。

しかし、学生は学費や生活費などに高額な費用がかかることが多く、保険料を支払う余裕がない場合もあるでしょう。

保険料を未納のまま放置してしまうと、将来の年金額にどのような影響があるのか気になるのではないでしょうか。

この記事では、国民年金保険料の未納が将来の年金額に与える影響や、未納のままにしてしまった場合の対処法などについて解説します。

1. 国民保険を未納のままにすると「2年・3年・4年」でいくら減る?

まずは、国民年金保険料を未納のままにした場合、将来の年金額にどのような影響があるのかを確認していきましょう。

結論から申し上げますと、未納のままにした分は将来年金を受け取る際に減額されることになります。

国民年金は、保険料を納付した月数によって年金額が決まり、満額を受け取るには40年間(480月)保険料を納付する必要があります。

令和5年度は満額で79万5000円受給できますが、未納がある場合、未納月数分だけ減額されるのです。

では、どのくらい減額になるのかを、2年・3年・4年未納にした場合でシミュレーションしてみます。

1.1 【未納が2年ある場合】

未納が2年(24月)ある場合の納付済月数は456月(480月-24月)です。

年金受給額は、79万5000円×456月/480月=75万5250円で、満額よりも3万9750円減額されます。

1.2 【未納が3年ある場合】

未納が3年(36月)ある場合の納付済月数は444月(480月-36月)です。

年金受給額は、79万5000円×444月/480月=73万5375円で、満額よりも5万9625円減額されます。

1.3 【未納が4年ある場合】

未納が4年(48月)ある場合の納付済月数は432月(480月-48月)です。

年金受給額は、79万5000円×432月/480月=71万5500円で、満額よりも7万9500円減額されます。

まとめると以下のようになります。

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出所:筆者作成

未納が2年ある場合は約4万円、3年ある場合は約6万円、4年ある場合は約8万円が減額されることになります。

年金は老後の主な収入源となる方が多いので、できるだけ満額か満額に近い金額を受給できるよう、未納がないように納付することをおすすめします。

2. 「学生納付特例制度」を利用する際の注意点

国民年金保険料の支払いが難しい学生を対象に、学生のうちの納付を猶予する「学生納付特例制度」が設けられています。

保険料の納付が難しい場合は、未納のまま放置せず申請手続きをとりましょう。

2.1 「学生納付特例制度」とは

学生納付特例制度は、在学中の保険料納付が猶予される制度で、所得が以下の式で求める基準以下の学生が対象です。

128万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等

なお、基準となる所得は学生本人のもののみで、家族の所得は関係ありません。

申請窓口は、お住まいの市区町村役所の国民年金課や近くの年金事務所ですが、在学中の学校で対応してくれるところもあります。

2.2 追納しないと年金額が減る

学生納付特例制度により保険料の納付を受けた期間は、将来国民年金を受給する際に必要な「受給資格期間」にはカウントされますが、年金額には反映されません。

つまり、納付しなかった分は年金が減額されるということです。

そのため、免除申請をすればそれで終わりではなく、収入を得るようになったら「追納」して将来の年金額が減額されないようにする必要があります。追納できるのは10年以内と決められています。

なお、2年以内に追納する保険料はもともとの金額のままですが、3年度目以降のものは経過期間に応じて加算額が上乗せされるため、できるだけ早期に追納することをおすすめします。

3. 国民年金の「任意加入制度」でも年金額を増やせる

未納期間がある場合や、学生納付特例制度で猶予を受けたにも関わらず追納をせずに10年が経過してしまった場合でも、国民年金の「任意加入制度」により年金額を増やすことが可能です。

国民年金への加入は原則として20歳から60歳ですが、受給資格を満たしていない方や未納月があり満額を受給できない方などは、60歳以降でも年金受給開始前であれば国民年金に任意加入できます。

国民年金に任意加入できるのは、以下のすべての条件を満たす方です。

  1. 日本に住む60歳以上65歳未満の方
  2. 国民年金の繰上げ受給をしていない方
  3. 20歳以上60歳未満までの保険料納付月数が40年(480月)未満の方
  4. 厚生年金に加入していない方

国民年金を満額またはそれに近い金額を目指したい方は、任意加入制度で増額を目指すのも選択肢のひとつとなります。

なお、保険料の未納期間があるかどうかわからない方は、毎年誕生月に送付される「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」などで納付状況を確認してみましょう。

4. 保険料の納付済期間の確認を

学生でも20歳になると国民年金保険料の納付が始まりますが、支払えないケースもあります。しかし、そのまま放置すると未納となり、将来受け取る年金が減額されてしまいます。

納付が難しい学生には「学生納付特例制度」が設けられており、申請することで在学中の保険料納付が猶予されます。

ただし、10年以内に追納しなければやはり年金額が減額されるため、期間内に追納するようにしましょう。

また、10年を過ぎてしまって追納できない場合は、60歳以降も国民年金に任意加入することで年金額を増額することが可能です。

老後の大切な生活費となる年金をできるだけ多く受給できるよう、保険料の納付済期間を確認してみましょう。

参考資料