厚生労働省は2023年8月18日に、2023年度の地域別最低賃金の改定額を取りまとめました。

上記資料によると2023年度の全国平均の最低賃金目安は1004円となり、現在の961円より43円増額に。

これは、最低賃金目安制度が始まって以来の最高額となります。

改訂された最低賃金は、10月1日から10月中旬にかけて各地域で順次引き上げられ、各世帯の収入が増えるかもしれないと期待の声が集まっています。

しかしその一方で、扶養内で働くパート主婦は「年収の壁」があることから、10月からの最低賃金アップに悩む人も多く見受けられました。

こうした問題を受けて、政府は「年収の壁・支援強化パッケージ」として年収の壁対策も進めています。

ただし、パート主婦が社会保険に加入すること自体のメリットも知っておいた方がいいでしょう。

最低賃金が上がるこの10月に、今一度働き方の検討をしてみてはいかがでしょうか。

10月から最低賃金アップもパート主婦は悲鳴?立ちはだかる「年収の壁」

前述したとおり、2023年10月から過去最高額の最低賃金となることから、多くの職場で賃金アップが期待されています。

収入が増えるのは誰しもが喜ばしいことに感じるかと思いきや、一部のパート主婦からは悲鳴も聞かれています。

その理由として、賃金がアップしてしまうと「年収の壁」が待ち受けているため、今まで調整していた勤務時間や勤務日数を再度調整しないといけなくなるからです。

「年収の壁」とは、世帯主の扶養に入っている主婦が一定以上の年収額に達すると税金や社会保険料の負担が増えることを指し、各年収ごとに「◯◯の壁」と呼ばれています。

代表的な年収の壁として、下記が挙げられます。

  • 年収103万円の壁:自身の所得税がかからないボーダーライン
  • 年収106万円の壁:社会保険の加入するかのボーダーライン
  • 年収130万円の壁:配偶者の社会保険上の扶養から外れるボーダーライン

上記の年収を超えると、今までの手取りよりも減ってしまうデメリットが生じることから、総額が一定の年収を超えないように調整する主婦は多いようです。

社会保険の適用要件の拡大により「106万円の壁」に悩む主婦が増加

パートとして働く主婦の場合、年収が一定額以下であれば、配偶者の社会保険の扶養に入ることができるため、自身の給与から社会保険料が天引きされることはありません。

しかし、収入が一定額を超えた場合はパート先の社会保険に加入することになり、保険料が発生するため、給与から毎月社会保険料が天引きされ手取り額が減ってしまいます。

この「収入が一定額を超えた場合」といった社会保険に加入する要件が、2022年10月より適用範囲が拡大しました。

2022年9月までは従業員数501人以上が適用範囲でしたが、現在は101人以上となっており、さらに来年10月からは51人以上の勤め先へ拡大します。

上記に該当する勤め先の場合は、下記要件をすべて満たした際に、新たに加入対象者となります。

月額賃金が8万8000円の場合、年収105万6000円となるため事業所の規模によっては「106万円」が壁になる主婦は多いとうかがえます。

なお、上記の要件が対象外であっても、最低賃金がアップすることで「130万円の壁」に到達してしまう可能性もあるため、どちらにせよ「年収の壁」を意識している主婦は、最低賃金アップに伴い、再度調整の検討が必要になるでしょう。