日本年金機構が2023年9月11日に、2022年度分の年金業務の事務処理誤り及びシステム事故等が1220件あったことを発表しました。
このような事務処理誤りは毎年発表されており、そのたびに「再発防止に努める」という言葉で締めくくられています。
しかし、年金は老後の柱となるもの。
毎年、事務処理誤りが起こることに対して「私の年金は大丈夫?」と不安を抱える人は多いのではないでしょうか。
今回は2022年度の事務処理誤りが、具体的にどのような「誤り」なのか確認して、私たちが日ごろ、どんな点に気をつければよいかを考えましょう。
1. 2022年度「年金の事務処理誤り」の件数は1220件!
日本年金機構の発表によれば、2022年度の事務処理誤りの件数は1220件ありました。
制度別・発生年度別の件数は以下のとおりであり、社会保険庁時代に発生したものは340件(28%)、日本年金機構発足後に発生したものは880件(72%)となっています。
1.1 事務処理誤りの総件数と制度別・発生年度別内訳
発生した事務処理誤りは、何が原因であったのかをみてみましょう。
1.2 事務処理誤りの制度別・区分別内訳
上記より、事務処理誤りの原因は、各制度の「確認・決定誤り」が最も多く771件(63%)を占めており、次いで「説明誤り」が220件(18%)、「入力誤り」が76件(6%)と続きます。
さらに、事務処理誤りの結果、個人へどのような影響があったのかをみてみましょう。
1.3 事務処理誤りの事象別内訳
事務処理誤りがあった1220件のうち、「影響額あり」が570件(47%)で合計金額は3億2295万6312円にのぼっています。
その内、過払い額は約6600万円で177件、未払い額は約2億3200万円で264件、過徴収額は約1700万円で79件、未徴収額は約555万円で32件、誤還付額は256万円で18件となっています。
個人へ影響のあった570件のうち、現役時代に国民年金保険料や厚生年金保険料を納めているにも関わらず年金が支払われない「未払い」が、264件(46%)も占めているというのはとても気になります。
未払いなどの事務処理誤りは、何がきっかけで気が付いたのかを確認してみましょう。
1.4 事務処理誤りの判明契機
「日本年金機構内部の調査等」がきっかけとなったのは732件(60%)、「個人からの問い合わせ」がきっかけになったのは488件(40%)となっています。
年金事務所から誤りがあったと知らされる場合もありますが、自身の年金について、不明点や疑問点を問い合わせることでも、事務処理誤りが見つかることがわかります。
2. 年金給付に係る事務処理誤りで対応した事象を紹介
2022年度のミスに限らず、これまで発生した事務処理誤りのうち「未払い」に関して、特に多かったと報告のある主なものを紹介します。
- 振替加算の支給漏れ
- 配偶者状態の登録誤りによる加給年金の支給漏れ
- 二以上事業所勤務届が提出されていない場合の年金額の計算誤り
それぞれについて、以下に説明します。
2.1 事務処理誤り「未払い」が起こりやすい事象1:振替加算・加給年金
加給年金は、一定の条件を満たした老齢厚生年金の受給者(夫)に年下の妻がいる場合、夫が65歳からもらう年金に加算される家族手当金です。
そして、妻が65歳になると、夫に加算されていた加給年金は支給停止となり、代わりに妻の老齢基礎年金に上乗せされる振替加算になります。
ただし、振替加算は自動的に加算されないため、受け取るには以下の書類を年金事務所に提出する必要があります。
- 国民年金 老齢基礎年金額加算開始事由該当届(様式第222号)
- 戸籍謄本
- 世帯全員の住民票※1
- 妻自身の所得証明書※1
※1:マイナンバーを書類に記載した場合などは、年金事務所が、世帯全員の住民票・妻の所得証明書の情報を取得し、確認することになるため、添付は不要です。
なお、振替加算は「昭和41年4月1日までに生まれた妻」が対象です。
振替加算は、妻の年金に加算されるものですが、そのタイミングは夫が65歳になったときです。
もし、妻が夫よりも年上であれば、既に老齢基礎年金をもらって、数年経過していることもあり、手続きすることを忘れることがあるかもしれません。
また、そもそも振替加算の存在を知らなければ、申請を行わないという場合も考えられます。
妻が夫よりも年上という場合は、とくに注意するようにしましょう。
なお上述のたとえは、夫が年上で妻の生計を維持しているという仮定で紹介していますが、男女逆でも加給年金、振替加算は適用になります。
2.2 事務処理誤り「未払い」が起こりやすい事象2:二以上事業所勤務届
「二以上事業所勤務届」は、同時に2か所以上の会社に勤める人が提出する書類です。
たとえば、ダブルワークをしている場合、2か所目の勤務先が社会保険適用事業所で、勤務する人が社会保険への加入要件を満たしている場合は、その事実が発生したときから10日以内に以下の書類の提出が必要です。
- 健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届
- 被保険者証
老齢厚生年金は、報酬に比例して年金額が決まります。
この手続きを忘れてしまうと、将来受け取る年金額が少なくなってしまいます。
ダブルワークをする方は気をつけるようにしましょう。
3. 年金を確認する習慣を
人が絡む手続きには、事務処理誤りが起こることは考えられます。
自分がもらう年金で起こらないよう、日ごろから「ねんきん定期便」を確認したり、年金制度について勉強したりしましょう。




