企業で勤め始めて20年あまりたち、40代にもなると、その時点で管理職になっていたとしても、そこからさらに出世コースを歩む人とそうでない人の差がはっきりと表れてくるのが現実です。では、一緒に仕事をしている部下の立場からは、どのような人を「本当に出世する人」だと感じているのでしょうか。
自分は手を動かさない
「20年前とやっていることが全然変わらない」――同僚からそんな風にささやかれている人が周囲にいませんか。
仕事はていねい、最後まで投げださない粘り強さもあり、部下や後輩にも優しい。そのような姿勢が評価されて若手の頃はスピード昇格していったのに、年を取るにつれてなぜか伸び悩んでいる。このような人は、部下の立場から見れば「他人に仕事をさせない」タイプに多いようです。
具体的な例としてあげられたのは「何でも自分でやらないと気が済まない」「成功した仕事や気に入っている仕事は上の立場になっても部下に任せない」「他部署から押し付けられたことを全部引き受ける」「トラブルに自ら巻き込まれにいく」といったもの。
一方「出世する人は『人をうまく使える』ことが一つの特徴ではないでしょうか」と語るのは、大手企業で十数年の勤務経験があるというAさん。Aさんの元上司は40代前半で部長に抜擢され、その後役員まで昇格したといいます。Aさんは当時を振り返って次のように話します。
「正直なところ、デスクで資料作りをしたり、細かい作業をしている姿というのはあまり見たことがありません(笑)。仕事も部下にほぼ丸投げなんですが、要所は自分自身できっちり締めていましたね。これをおいしいとこどりだ、要領がいいだけだ、と悪口を言う人もいましたが、多くの部下をうまく動かせたからこそ手柄も大きくなるわけで。結局、人に任せて泰然としていられる器の大きさと、大局を見極める力があったということではないでしょうか」