2. 海運大手2社は為替相場や市況の回復が株価上昇の一因か
商船三井や日本郵船といった海運業は、市況の回復が両社の業績の追い風になると考えられます。
その一つは円安で、6月ごろから進行する円安トレンドは、米ドル建てでのビジネスが多い両社にとって株価の上昇要因の一つだと思われます。
また、海運の市況も下げ止まりや改善がみられます。
たとえば外航不定期船の運賃指数の一つであるバルチック海運指数は、2023年夏より下げ止まり傾向にあります。
日本郵船と商船三井は、両社の持分適用会社に当たるONE社の業績が思わしくないとの見方から、すでに慎重な業績見通しを出しています。
そのため、2023年度第1四半期の決算では日本郵船が経常利益でみて894億円(前年同期比▲2833億円)、商船三井が2841億円(同▲1938億円)と大幅減益でしたが、株価には大きな影響を及ぼしませんでした。
上記のような足元の市況改善が、今後の両社の業績回復の足掛かりの一つとして考えられ、株価は上昇傾向にあると考えられます。
3. 商船三井と日本郵船の株価の主なリスクとは
日本郵船Webサイトの「リスク情報」や商船三井「リスク管理」を参考にすると、次のような要因が株価に対する重要なリスク要因となりそうです。
- 市況変動リスク
- 重要な事故・情勢悪化等による影響
- 自然災害や伝染病などのリスク
上記の中でも足元で影響を受けていると考えられる一つは「市況変動リスク」でしょう。日本の海運大手は為替変動や船賃、荷捌き量などの海運市況の影響を大きく受けます。
2022年度は、それ以前のコロナ禍の物流の停滞などの影響で船賃高騰や、経済正常化に伴う物流需要の急増などが両社の業績にとって追い風でした。
一方で2023年は、年初はコロナ後の需要拡大の反動減により海運市況はよくない状況が続き、夏場にかけては市況に底打ち感が出ていると見られます。
上記のようなリスクを把握し、世界情勢をはじめとして情報収集をおこなうことは大切でしょう。