ベネチアが沈みはじめた?深刻化する高潮問題
現在、ベネチアはなかなか解決できない問題をたくさん抱えています。そのひとつが高潮問題です。日本でもニュースになり、インパクトが強い動画にショックを受けた人も多かったのではないでしょうか。
ある説によれば、ベネチアは1890年頃から地盤沈下が進み、1966年には全市が水浸しとなりました。市では地盤沈下を防ぐため、井戸水のくみ上げを禁止したり、「モーゼ」と呼ばれる水門システムの建設を開始したのです。
しかしいずれも功を奏さず、サン・マルコ広場が水浸しになる現象を防ぐことができないでいます。ベネチアそのものが地盤沈下していることに加え、近年の気候変動による大水害は深刻化していると言わざるを得ません。
減りゆくベネチアの人口と、増えていくツーリスト
19世紀後半、ベネチアの歴史地区には13万人近い人が住んでいました。
ところがベネチア市によると、2022年の人口は5万人を下回る結果に。ある新聞によれば、ベネチア市の人口は毎年1000人ほどが流出しているともいわれています。
一方、ベネチアを訪れる観光客の数は年間2000万人を超えます。ベネチアには大学もありますが、宿泊施設やアパートは観光客向きにどんどん価格がつり上がり、人材の流出は顕著です。
5万人弱が住むベネチアに押し寄せる観光客の波は、住民に強いストレスを与え続けているのです。