2024年1月以降に建築確認を受ける新築住宅については、原則として省エネ基準に適合させなければ住宅ローン減税を受けることができなくなってしまいます。

近年、地球の環境問題解決に向けた省エネ化の取り組みが世界中に広がっています。

そのような中で、国内で住宅を建てる際には快適性や耐震性などに注力するだけではなく、環境への配慮が不可欠となっています。

その一環として、「どの程度断熱性能を高めれば良いのか」、「どんな設備を取り入れたらエネルギーの消費量を削減できるのか」、といった基準を定めた「省エネ基準」に沿って住宅を建てることが求められるようになりました。

新築住宅は住宅ローンを利用する方が圧倒的多数を占めるので、減税されなくなってしまうと大変です。

国土交通省の「第1回 脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」によると、省エネ基準適合率は87%となっているため、新築住宅の1~2割近くが住宅ローン減税の対象外となってしまう可能性もあります。

今後、住宅ローン減税を使う予定の方は注意が必要です。

そこでこの記事では、省エネ基準や住宅ローン減税の概要、減税制度のポイントなどを紹介させていただきます。

住宅の省エネ基準とは?

住宅の省エネ基準は1980年(昭和55年)に制定された省エネ法に対応したもの(旧省エネ基準)で、1992年(平成4年 新省エネ基準)、1999年(平成11年 次世代省エネ基準)に改正・強化されました。

さらに2013年(平成25年)には住宅の屋根や外壁、窓などの断熱性能を指す「外皮熱性能基準」に加え、設備の性能(空調や給湯など)や創エネ性能(太陽光発電など)を総合的に評価する「一次エネルギー消費量」基準が加わり、建物全体でエネルギー消費量を減らす基準が導入されました。(平成25年省エネ基準)

すなわち省エネ基準とは、建築物が備えるべき省エネ性能の確保のために必要な建築物の構造及び設備に関する基準であり、一次エネルギー消費量基準と外皮基準からなります。

これらの基準は、気候条件に応じて区分された全国の8つの地域ごとにそれぞれ基準値が定められています。

そして2024年以降は長期優良住宅・低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅といった省エネ性能に応じて住宅ローン控除の借入限度額が異なり、住宅ローン減税の申請には省エネ基準以上適合の「証明書」が必要になります。

証明書には登録住宅性能評価機関のみが発行できる「建設住宅性能評価書」と、登録住宅性能評価機関等のほか建築士が発行できる「住宅省エネルギー性能証明書」があります。

ただし、改正建築物省エネ法が施行予定の2025年4月以降に建築確認申請を受ける場合は不要になる予定です。