筆者が新聞社に勤めていた時、先輩記者から「情報とお金は、持っている人のところに集まる」と聞かされたことがあります。
情報を持っている人のところには情報を求める人が集まり、そこで手持ちの情報を交換するからさらに情報の集積が進む、ということでしょうか。取材先を開拓するうえでのヒントになりました。
ではお金を持っている人のところにお金が集まる、とはどういうことでしょうか。
本記事では、その真実に迫っていきたいと思います。
1. 富裕層「お金はお金を持っている人のところに集まる」とは?
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金融業はサービス提供の対価として、手数料を受け取るビジネスです。
金融機関を通じてお客様がお金を動かすと、そこに手数料が発生し金融機関の収益になる、ということです。
動かすお金が大きければ手数料も大きくなり、金融機関にとって効率のよいビジネスが展開できます。
そのため、お金をたくさん持っている人に対しては金融機関からの情報提供の機会が多くなり、その結果、お客様にとっても有利な取引が行われやすくなる、ということがあるようです。
2. 富裕層「お金持ちは優良企業の株式」を保有している
もう一つ見逃せないのは、お金持ちは必ず優良企業の株式を持っている、ということです。
株式会社は事業を通じて利益を上げ、その利益をオーナーである株主に還元する仕組みです。
世界規模で事業展開する優良企業であれば、世界中からお金を集めて株主に届ける役割を担っている、と読み替えることもできるでしょう。
お金を持っている人のところにお金が集まる、というのは本当で、実は株式会社をプレーヤーとする資本主義経済の仕組みそのものなのです。
アメリカの経済誌「Forbes(フォーブス)」が世界の長者番付を発表しています。
2023年4月に発表された2023年版で1位になったのは、フランスのベルナール・アルノー氏です。
資産額は2110億ドル(約27兆8500億円)ですからまさにけた違いです。ベルナール・アルノー氏は、高級ブランド品などを扱うLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)の会長兼CEOで、大株主です。
2位以下にはテスラやスペースXのイーロン・マスク氏(1800億ドル=約23兆7600億円)、アマゾンのジェフ・ベゾス氏(1140億ドル=約15兆500億円)と続きます。
どんな優良企業でも、社員の立場でこれだけの財産を築くことは不可能でしょう。長者番付に名前の挙がる人は、株主の立場だったからこそこうした富を手に入れたのです。
3. 富裕層「日本のお金持ち」1億円以上の資産家は約2.7%
さて、世界のトップとは水準が異なりますが、日本にもお金持ちはたくさんいます。
野村総合研究所は2023年3月1日、「日本の富裕層は149万世帯、その純金融資産総額は364兆円と推計」とするレポートを発表しました。
ここでは、世帯の純金融資産保有額1億円以上5億円未満を「富裕層」、5億円以上を「超富裕層」と定義しています。
- 超富裕層(5億円以上):9万世帯/105兆円
- 富裕層(1億円以上5億円未満)139万5000世帯/259兆円
- 準富裕層(5000万円以上1億円未満):325万4000世帯/258兆円
- アッパーマス層(3000万円以上5000万円未満):726万3000世帯/332兆円
- マス層(3000万円未満):4213万2000世帯/678兆円
内訳は富裕層が139万5000世帯、超富裕層が9万世帯。全世帯(5414万4000世帯)に占める割合は約2.7%となります。
40世帯にひとつはこうした「富裕層」ということになりますから、たくさんではないにせよ身近にいたとしても不思議ではありません。
4. 富裕層「保有資産の価格上昇」がお金持ちへの近道か
レポートによると、富裕層は安倍政権の経済政策(「アベノミクス」)が始まった2013年以降、一貫して増加を続けているようです。
【2013年→2021年 保有資産規模と世帯数の推移】
- 超富裕層:5万4000世帯(73兆円)→9万世帯(105兆円)
- 富裕層:95万3000世帯(168兆円)→139万5000世帯(259兆円)
- 準富裕層:315万2000世帯(242兆円)→325万4000世帯(258兆円)
同資料では、「株式などの資産価格の上昇により、富裕層・超富裕層の保有資産額が増大したことに加え、金融資産を運用(投資)している準富裕層の一部が富裕層に、そして富裕層の一部が超富裕層に移行したためと考えられます」と指摘していることからも、株式を持つことが富裕層につながる道だということがよく分かります。
資産1億円なら、会社員でも時間をかければ手が届くかもしれません。
5. 富裕層は意外にも堅実。自身が考える「価値」を大切に
実際に富裕層とされる方にお会いすると、堅実な生活をされている方が多いことに気づきます。
日々の生活で節約を心掛けるのは当然のこと、お買い物の際に、ものの「値段」ではなく「価値」に注目される方が多いように感じます。
高品質なものは値段が高く、低品質なものは値段が低いのは当然のこと。どちらを買っても損得はありません。
高品質なものを低い値段で買えた時こそ、よい買い物ができたと言えるのではないでしょうか。品質と値段のギャップこそが「価値」というわけです。
質の高い金融資産を持つ人たちは、こうしたものの見方が習慣化しているようです。そこに金融機関のプロフェッショナルからのアドバイスが加われば、資産が殖えていくのも納得です。
参考資料
上田 輔
