5. 年金請求書に関する注意点3つ
年金請求書に関する注意点も見ておきましょう。
5.1 年金請求書に関する注意点【その1】
年金請求書が届くのは、誕生日の3ヵ月前です。
しかし、年金請求書の提出は「年金の受給権が発生の前日以降」です。
早めに書類を準備しても、提出までに空白の期間が生まれるため、忘れないようご注意ください。
5.2 年金請求書に関する注意点【その2】
65歳になる前から特別支給の老齢厚生年金を受給している方は、65歳になるときに改めて年金請求書を提出する点にも注意しましょう。
「すでに年金を受け取っているから手続きは必要ない」と思いこんでいると、年金の支払いがストップしてしまう可能性もあります。自宅に届く書類には、必ず目を通す習慣をつけておくことは自身の生活を守る大きな武器になりえます。
5.3 年金請求書に関する注意点【その3】
次は年金請求書の提出期限について。いつまでに提出を終える必要があるのでしょうか。
「特別支給の老齢厚生年金」受給中の場合
- 年金請求書が届く時期…65歳になる誕生月の初旬(1日生まれの場合は前月の初旬)
- 年金請求書の提出期限…誕生月の末日(1日生まれの場合は前月末日)まで
【老齢年金の請求が初回の場合】
- 年金請求書が届く時期…受給開始年齢に到達する3ヵ月前
- 年金請求書の提出期限…誕生月の末日(1日生まれの場合は前月末日)まで
6. 老齢年金の受給開始は65歳とは限らない
先ほど触れましたが、老齢基礎年金は原則として65歳から受給できます。
しかし、60歳から65歳までの間に繰上げて減額された年金を受け取る「繰上げ受給」や、66歳から75歳まで※の間に繰下げて増額された年金を受け取る「繰下げ受給」を選択することもできます。
※昭和27年4月1日以前生まれの方、または、平成29年3月31日以前に老齢基礎・厚生年金を受け取る権利が発生している方は、繰下げの上限年齢が70歳(権利が発生してから5年後)までとなります。
ここで「繰上げ受給」と「繰下げ受給」についても確認しておきましょう。
6.1 年金の繰上げ受給
繰上げ受給は、年金を早くもらい始めるかわりに、繰上げ月数に応じた減額率(ひと月あたり0.4%)が適用されます。
老齢基礎年金・老齢厚生年金それぞれについて減額され、減額は生涯続きます。
6.2 年金の繰下げ受給
繰下げ受給は、年金受給を遅らせるかわりに、繰下げ月数に応じた増額率(ひと月あたり0.7%)が適用されます。
繰下げ上限年齢の75歳で受給をスタートした場合、年金額が最大84%増えることになります。
ただし、加給年金が受け取れない、税金や社会保険料などの負担増に繋がる、などのデメリットもありますので、安易に判断せず慎重に検討していくのがよいでしょう。
7. 情報の収集を怠らず、万全の体制を!
今回は誰もが受給の権利を持つ「公的年金」の必要手続きについて眺めてきました。
そもそもの年金制度や受給額については、今も将来も変わらず同じとはいえません。
老後の収入の柱となる「年金」、日頃からアンテナ高くしておきたいですね。
「ねんきん定期便」に目を通したことがない方は、ご自身の受給見込額をチェックしてみるのもいいでしょう。
実際年金受給のスタートが近い方は、今一度必要手続きについて予習できると安心ですね。
何事も「備えあれば憂いなし」です、早めの行動を心がけていきましょう。
参考資料
- 日本年金機構「年金の受給に関する届出・手続き」
- 日本年金機構「老齢年金ガイド 令和5年度版」
- 日本年金機構「受給資格期間」
- 日本年金機構「年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付 事前送付用)(記入例)」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
笹村 夏来