早期退職を目指し、資産運用をスタートしている若い世代が増えてきているように感じています。
仕事が好きなら長く続けるも良し、早めのFIREで悠々自適な生活を続けるのも良し、幅広い選択肢を持つことができる世の中になりました。
しかし実際、老後にどのくらい貯蓄があれば安心した生活ができるのか、ここを把握しなければ悠々自適な生活を過ごすことができません。
今回は「貯蓄2000万を保有する70歳代がどのくらいの割合を占めているのか」に注目してみていきたいと思います。
1. 貯蓄2000万円超の70歳代以上は3割弱
かつて「老後2000万円問題」が話題となりました。
各種データをもとに試算した結果、老後に年金だけでは約2000万円が不足するというものでした。これを受け、老後資金に危機感を抱いた方も多いでしょう。
しかし、年金額や支出額は人それぞれなので、全員に2000万円が必要というのは誤りです。加えて、昨今の物価上昇です。
今と10年後では、同じ「2000万円」でもその価値は異なる可能性もあります。こう考えると、2000万円では足りないというケースも十分に考えられるでしょう。
では、いまの70歳以上の方で「貯蓄2000万円」をクリアできている人はどれほどいるのでしょうか
2. 貯蓄現在高の平均と中央値【70歳代以上】
金融広報中央委員会「各種分類データ(令和4年)ー家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」によると、70歳代以上の貯蓄の平均額は下記のとおりとなりました。
2.1 貯蓄の平均値と中央値
- 平均:1905万円
- 中央値:800万円
2.2 貯蓄現在残高ごとの世帯割合
- 非保有:18.7%
- 100万円未満:5.9%
- 100~200万円未満:4.1%
- 200~300万円未満:2.8%
- 300~400万円未満:4.0%
- 400~500万円未満:2.2%
- 500~700万円未満:7.5%
- 700~1000万円未満:6.5%
- 1000~1500万円未満:10.3%
- 1500~2000万円未満:7.1%
- 2000~3000万円未満:10.0%
- 3000万円以上:18.3%
- 無回答 :2.7%
これにより、貯蓄額2000万円超の70歳代世帯は28.3%ということがわかりました。3割に満たないということです。
また、平均値と中央値に大きな違いがあるのも注目したいポイントです。平均値はどうしても一部の大きな値に引っ張られる傾向があります。
2000万円以上が28.3%である一方、貯蓄ゼロの割合は18.7%に上ります。このように格差があるため、平均値と中央値に乖離が見られると考えられます。
現役時代からの貯蓄習慣や退職金の有無などが、老後のお金事情に影響を及ぼしていると言えるでしょう。