4. 日本の公的年金制度の仕組みとは
先ほど確認した70歳代の平均受給額で、老後に受け取る年金は「国民年金」と「厚生年金」で大きな差があることがわかりました。
受給額に差が出るのは、公的年金制度の仕組みに理由があります。
日本の公的年金は2階建て構造と呼ばれています。
4.1 国民年金(1階部分)
国民年金は1階部分にあたります。原則、日本に住む20歳~60歳未満の方はすべて加入対象です。
自営業やフリーランス、専業主婦(主夫)などで保険料納付等の要件を満たした方は、将来、国民年金(老齢基礎年金)が受給できます。
国民年金の保険料は一律(年度ごとに見直しあり)のため、「きちんと納めたのか、未納期間(免除期間)があるかどうか」で受給額に差が出ることもあります。
4.2 厚生年金(2階部分)
2階部分は「厚生年金」です。会社員や公務員などが国民年金に上乗せして加入します。
厚生年金の保険料は給与や賞与などの報酬によって決定するため、個人によって異なります。現役時代の報酬や加入期間によって老齢厚生年金額が決まるため、個人差が大きいのが特徴です。
そのため、前章で紹介した「厚生年金の月額平均14万円~15万円台」というのは、やはり全員にあてはまらないということがわかります。
現時点での年金の目安額は、「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で確認できます。ねんきん定期便は、毎年の誕生月に郵送されてくるので、年に1度、老後生活を考える機会としてご確認ください。
5. 堅実に老後に備える
今回は貯蓄2000万円以上の70歳以上世帯の割合を検証しましたが、達成している方は28.3%、約5世帯に1世帯という割合でした。
FIREを目指して資産運用をするのは実はとても難しく、まずは堅実にコツコツと運用していくのが大切になってきます。
今ある資産の一部を無理のない範囲で運用できれば、自分自身も28.3%になれるかもしれません。
まずは自分に合った運用とは何か、向いているものは何か、そこから勉強してみるのが良いのかもしれませんね。
参考資料
- 金融広報中央委員会「各種分類データ(令和4年)ー家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」
- 厚生労働省年金局「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和5年4月)
- 厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」
杉田 有毅