老後にどのくらいの年金額を受け取ることができるのか、関心が高い方は多いでしょう。

年金制度は、自営業者か会社員か、保険料の納付額や期間、また生まれた年によって、受け取れる額が変わってきます。

女性の場合は特に、独身か既婚か、働いているのか専業主婦なのか、など立場によって大きく異なります。

令和4年簡易生命表によれば、65歳の平均余命は男性が19.44年なのに対し、女性は24.30年です。平均寿命が伸びてきている中、老後どのくらいお金がかかるかも気になるポイントでしょう。

公益財団法人 生命保険文化センターによると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考える最低日常生活費は月額23万2000円、ゆとりある老後生活費は月額37万9000円となっています。

老後の大きな収入柱となる年金。ひとり「月額20万円以上」受給できる人はどのぐらいいるのでしょうか。

今回は、今のシニア世代の年金事情について見ていきたいと思います。

1.「厚生年金と国民年金」仕組みをおさらい

日本の公的年金制度は「厚生年金」と「国民年金」による「2階建て」構造になっています。現役時代に、1階「国民年金」と2階「厚生年金」のどちらに加入するかによって、老後に受け取る年金額が大きく違ってきますので、仕組みを理解しておきましょう。

1.1 国民年金《1階》

「国民年金」は、原則、日本に住む20~60歳未満のすべての人が加入する年金です。20歳以上の学生や自営業者などの第1号被保険者と、第2号被保険者に扶養される配偶者(第3号被保険者)が主な対象者となります。

国民年金の保険料は、収入の有無や年収の大小に関わらず全員一律です(年度ごとに見直しあり)。第1号被保険者は、保険料を納付書での支払いや口座振替などにより自身で支払います。

第3号被保険者の保険料は、配偶者(第2号被保険者)が加入する厚生年金や共済組合などが負担するため、個人での支払いは必要ありません。

1.2 厚生年金《2階》

「厚生年金」は、主に会社員や公務員などが対象となります。厚生年金は1階部分の国民年金(基礎年金)の資格を含むため、保険料にも将来受け取る年金額にも国民年金部分が含まれる仕組みです。

厚生年金の保険料は毎月の給与や賞与などの報酬よって決定します。老後に受け取る年金額は、この保険料と年金加入期間により決定するため、上限はあるものの、厚生年金加入期間が長いほど、年収が高いほど、老齢年金も高くなる仕組みになっています。

2. 2023年度「国民年金」満額6万6250円(月額)

2023年度の公的年金は最大2.2%の増額となりました。

新規裁定者(67歳以下)の年金額は満額で月額6万6250円、前年度の6万4816円から1434円の増額です。

国民年金は仕組み上、月額20万円を受け取ることはできません。ご自身の生活水準と照らし合わせながら、老後に向けて私的年金や取り崩し可能な貯蓄などを準備していく必要があるでしょう。

次に、現役時代の年収や年金加入期間により年金額が決定する厚生年金の受給額を見ていきます。