9月に入り、2学期がはじまりました。子どもが学校に慣れていくと、働き始めたり、働く時間を増やしたりなど検討されるご家庭もあるでしょう。
専業主婦世帯と共働き世帯には経済面でどのような違いがあるか、気になる人も多いのではないでしょうか。
専業主婦世帯の夫の収入が共働き世帯と同じくらいだった場合、手取りや将来の年金はどの程度違うでしょうか。
今回は専業主婦世帯の夫の年収800万円のケースと、夫婦それぞれが年収400万円の共働き世帯を比較します。
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「専業主婦世帯」と「共働き世帯」の割合は何パーセント?
内閣府「男女共同参画白書 令和4年版」によると、2021年の会社員の共働き世帯は1177万世帯、会社員の夫と専業主婦の世帯は458万世帯となっています。
1995年頃から共働き世帯が増加し、専業主婦世帯が減少する傾向が続いています。
共働き世帯が増加した背景としては、以下のような原因が考えられます。
- 給与水準の伸び悩み
- 家事や育児に関する意識の変化
- 育児・介護休業法など労働に関する制度の拡充
経済的な事情が最大の要因と見られますが、キャリアアップを希望する女性が増加していると考えられます。
「夫が年収800万円の専業主婦世帯」の手取り額は?
会社員の夫の年収が800万円で妻が専業主婦の世帯では、手取り額はいくらになるかを試算してみましょう。
協会けんぽの東京都の保険料額より、社会保険料は年間約120万円とします。
この試算で差し引く控除は、以下のとおりです。
- 給与所得控除:190万円
- 社会保険料控除:年間約120万円
- 基礎控除:48万円(所得税)・43万円(住民税)
- 配偶者控除:38万円(所得税)・33万円(住民税)
課税所得金額:(800万円 - 190万円)-(120万円 + 48万円 + 38万円)= 404万円
所得税額:404万円 × 20% - 42万7500円 = 38万500円
住民税(均等割額):5000円
住民税(所得割額):{(800万円 - 190万円)-(120万円 + 43万円 + 33万円)}× 10% = 41万4000円
手取り額:800万円 - (120万円 + 38万500円 + 5000円 + 41万4000円)= 600万500円
夫の年収800万円の専業主婦世帯の手取り額は600万500円となりました。
「夫婦それぞれ年収400万円の世帯」の手取り額は?
次に、夫婦それぞれの給与収入が年間400万円の世帯の手取り年収を見ていきましょう。
夫婦同額なので、1人分の控除額を計算します。
協会けんぽの東京都の保険料額より、社会保険料は年間約61万円とします。
この試算で差し引く控除は、以下のとおりです。
- 給与所得控除:124万円
- 社会保険料控除:年間約61万円
- 基礎控除:48万円(所得税)・43万円(住民税)
課税所得金額:(400万円 - 124万円)-(61万円 + 48万円)= 167万円
所得税額:167万円 × 5% = 8万3500円
住民税(均等割額):5000円
住民税(所得割額):{(400万円 - 124万円)-(61万円 + 43万円)}× 10% = 17万2000円
手取り額(1人分):400万円 ー(61万円 + 8万3500円 + 5000円 + 17万2000円)= 312万9500円
手取り額(世帯):312万9500円 × 2(人)= 625万9000円
専業主婦世帯の手取り額600万500円よりも、夫婦共働きのほうが25万8500円手取りが多い結果となりました。
同じ世帯年収でも課税所得金額によってかかる所得税率が異なる点が、手取り額の差につながったと考えられます。
専業主婦世帯と共働き世帯の将来の年金額は?
ここでは、専業主婦世帯と共働き世帯の老齢年金の受給額を比較しましょう。
【年収別】厚生年金の受給額
厚生年金の受給額は、「平均標準報酬月額×5.481/1000×加入月数」で計算します(2003年4月以降の加入期間)。
ここでは、以下の条件で年収400万円と800万円の厚生年金の受給額を計算します。
- 賞与なし
- 2003年4月以降、40年間(480カ月)厚生年金に加入
- 収入は40年間同額
【世帯年収別】公的年金の受給額
2023年の国民年金の満額は、年額79万5000円(67歳以下の場合)です。
国民年金を満額受け取れると仮定した場合の、現役時代の世帯年収800万円の専業主婦世帯と共働き世帯の公的年金受給額は以下のとおりです。
現役時代の世帯の手取り年収に比べると、年金収入は専業主婦世帯と共働き世帯で大きな差がないことがわかります。
収入によって受取額が決まる厚生年金では、年収800万円の1人分と年収400万円と2人分の年金額は同程度となります。
各家庭の実情に合ったマネープランを立てましょう
現在の日本の税制では、専業主婦世帯の夫の収入が共働き世帯と同じくらいだった場合、共働き世帯の手取りが多くなる傾向があります。
また、今回のシミュレーションでは将来受け取る年金に大きな差はありませんでしたが、厚生年金には標準報酬月額の上限があります。
上限を超えた収入があっても、年金受給額は頭打ちになってしまうのです。よって、共働き世帯の年金受給額が多くなるケースも考えられます。
いずれにしても大切なのは、家計の実情に合ったマネープランです。現役のうちに堅実に家計を管理し、現在や将来のための資産形成を心がけましょう。
参考資料
- 内閣府「男女共同参画白書 令和4年版」
- 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和4年)」
- 協会けんぽ「令和5年度保険料額表」(東京都)
- 東京都主税局「個人住民税」
- 日本年金機構「報酬比例部分」
松田 聡子