老後の借家住まいは、長生きしている間にインフレが来るリスクがあるので、自宅が安心です。(経済評論家 塚崎公義)。

借家と持ち家の論争は、損得の観点が多い

借家と持ち家を比較して、どちらに住むのが得か、という論争。

諸経費を考えると「一長一短」ということになりそうですね。ならば別の観点から考えてみましょう。

それは「悲惨な老後を避ける」という観点です。

借家住まいをしていると、長生きしている間にインフレが来た場合、高騰した家賃を長期間支払い続ける必要が出て、老後資金が底を突いてしまう可能性があるのです。

長寿自体は喜ばしいことですが、老後資金の面ではリスクをはらんでいると言えるでしょう。

少し前までは「30年もインフレが来ていないのだから、今後も来ないだろう」と考える人も多かったようです。

しかし、ウクライナ戦争に端を発する世界的なインフレの影響が看過できない昨今。これから先もインフレが起こるリスクがあると認識する人は増えているでしょう。

戦争のリスクに加えて、少子高齢化で労働力不足となって賃金が上がってインフレになるリスク、大規模な自然災害が起こり復興資材の輸入が激増し、ドル高になって輸入物価が高騰するリスクなど、さまざまな事態が想定できます。

備えあれば憂いなしですね。