入居のきっかけ2:お金のトラブル
続いて、認知症によるお金の問題をきっかけに、介護施設への入居を決めたご家族の事例を紹介します。
- お金の計算ができなくなり、買い物に行けなくなった
- 家族が気づいた時に多額の借金があった
- 年金が支給されると全て引き出してお金を使い込んでしまう
- 詐欺や、自宅に侵入されて金品などを盗まれる窃盗などの被害に遭った
- お金や通帳の保管場所を忘れて「家族に盗られた」と思い込むようになった
とくに、高齢者が一人暮らしをしているケースで、お金に関するトラブルをきっかけに、施設入居を検討する方が多くみられました。
入居のきっかけ3:怒りっぽくなる・暴力
認知症になると、些細なことで怒りっぽくなったり、暴言や暴力の症状が現れたりする方もいます。
筆者が担当したケースでも「介護の疲れもあるなかで、毎日のように暴言を吐かれるとストレスがたまり、手が出そうになる‥」と在宅介護の限界を感じて、施設入居の相談に訪れたご家族がいました。
ただ、暴言や暴力のあるケースでは、ご本人の状態によっては、施設側の受け入れが難しく、入居前に担当医や心療内科・精神科等への受診を勧めることがあります。
「暴言や暴力があることを話すと、施設へ入れてもらえないかもしれない」と思う人もいるかもしれませんが、入居相談の際には、ご本人の状態を隠さず伝えるようにしてください。
介護施設は共同生活の場であるため、他の入居者に迷惑をかけてしまうほどの暴力・暴言がある場合は、施設側から退去を求められる可能性があります。このことは、入居時の契約書や重要事項説明書に記載されているので、よく確認しておきましょう。
在宅介護の限界が来てからでは遅い!余裕があるうちに施設探しを
認知症は進行性の病気のため、症状が進めばどうしてもご本人の命や安全を守るために、施設への入居が必要となるケースがあります。
施設入居は、家族の負担が軽減するだけでなく、介護されるご本人にとっても、介護のプロからケアを受けることで症状が改善するなど、良い影響をもたらすケースも多くみられます。
なお、在宅介護の限界を迎えてから施設探しを始めても、すぐに入居できる施設が見つかるとは限りません。施設探しは、余裕があるうちに始めることをおすすめします。
参考資料
株式会社LIFULL senior「介護施設入居に関する実態調査 2023年度」(PR TIMES)
中谷 ミホ