4. 年金から天引きされるものとは?10月には年金の振込額が変更となる方へ「年金振込通知書」を送付

天引きされる内容は、受給開始後に毎年6月に郵送される「年金振込通知書」で確認することができます。

天引きされる金額は居住地や所得によって異なります。今回は東京都八王子市に住む女性(76歳)の例を挙げてみていきます。

4.1 【厚生年金】年金からの天引き その1「税金」

厚生年金が月額15万円の場合、年間収入は180万円です。収入が年金のみの場合は、所得税として4623円、住民税として1万6500円が天引きされます。

4.2 【厚生年金】年金からの天引き その2「介護保険料」

年金年額が18万円以上の場合、介護保険は強制的に年金から天引きされます。八王子市を例に挙げると、年金収入が180万円の方の介護保険料は年額7万9400円となります。

4.3 【厚生年金】年金からの天引き その3「健康保険料」

年金から天引きされる健康保険料は、「国民健康保険」か「後期高齢者医療制度」か、で変わります。今回の事例の女性は76歳なので、後期高齢者医療制度の保険料が天引きされます。

東京都後期高齢者医療広域連合の所得割率と均等割額を用いて計算すると、保険料は年間約4万8800円です。

※10月からは介護保険料などの特別徴収額が変更となるため、振込額が変更となる方を対象に「年金振込通知書」が送付されるので確認するといいでしょう。

5. 【厚生年金】額面15万円の手取り額は約13万8000円に

天引きされる税金や保険料を合計すると、年間で約15万円です。

180万円-15万円=165万円

額面は15万円だとしても、毎月、税金や保険料で1万2500円が天引きされ、手取り月額は約13万8000円となります。

※あくまでも概算です。また天引きされる金額は年度途中に決定するため、1年を通して同じ手取り金額になるとは限りません。

額面通り「15万円もらえる」と思っていたのに、予想外に天引きされてしまうと落ち込んでしまうでしょう。

6. 老齢年金は手取りまで考えて老後の対策を

今回は、老後の年金から天引きされる税金や保険料について見ていきました。

年金も現役時代のように天引きされる金額が多いと知り、驚かれたかたも多いでしょう。

年金額を増やすには「繰り下げ受給」という制度を利用することも可能です。

ただ、繰り下げ受給を利用するにも貯蓄や働く期間を延ばすなど、年金以外の対策が必要となります。

年金制度は複雑でわかりづらいですが、しっかりと制度を理解し、将来にお金で悩まないように準備をしておく必要がありそうですね。

まずはねんきん定期便やねんきんネットでご自身の受給予定額を知り、天引き後まで考えて老後対策を検討してはいかがでしょうか。

参考資料

川村 哲之