「60代」と聞くと、どのようなイメージをもたれるでしょうか。
一昔前であれば60歳で会社を定年退職し、セカンドライフを送っている方が多かったように思います。
最近では企業の退職年齢が延びたり、老後の必要資金が不足していたりなど、様々な理由で60歳を超えても働く人が増えてきています。
もちろん「働くことが生き甲斐だ」という理由で働いている方も多いと思いますが、「働かないと生活が苦しい」といった理由で働く方も一定数いるのではないでしょうか。
昨年に引き続き、今年も色々なモノの値段が上がり続けており、生活を苦しめる一つの理由になっていると思われます。
今回は、年金受給がスタートして間もない65歳から69歳の暮らしに注目して、年金の平均月額についてみていきたいと思います。
1. 65歳~69歳「国民年金・厚生年金」平均月額
年金受給が開始して間もない65歳~69歳のシニアは、「国民年金・厚生年金」をどれくらいもらっているのでしょうか。厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」で確認していきます。
1.1 「国民年金」平均月額を確認
さっそく、自営業などが受給する「国民年金」から見ていきましょう。
【60歳代:国民年金の平均月額】
平均:5万7739円
- 65歳:5万8078円
- 66歳:5万8016円
- 67歳:5万7810円
- 68歳:5万7629円
- 69歳:5万7308円
老齢年金の受給開始年齢は原則65歳~となりますが、希望すれば「繰上げ受給」によって60歳~64歳の期間内で年金受給開始を早めることが可能です。ただし、繰上げ受給により「早めた月数×0.4%(最大24%)」が減額され、その減額率は一生涯変わらないため、利用する際には慎重な判断が必要でしょう。
逆に65歳以降、年金受給開始を1カ月ずつ先延ばしにする毎に0.7%ずつ増額される「繰下げ受給」という制度もあります。こちらも増額された年金額が一生涯つづきますので、このあたりの制度も上手に活用していきたいですね。
では、65歳以上の年金月額をみていきましょう。
65歳~69歳の国民年金の平均月額は、「5万7739円」でした。
ちなみに、2023年度は年金額が増額。67歳以下新規裁定者の場合、前年度から2.2%引き上げとなり満額6万6250円(月額)となりました。
国民年金は、原則20歳~60歳未満の日本に住む人が加入する年金です。保険料は全員一律(年度ごとに見直し)となっており、全期間、保険料を納付すれば老後に年金が満額支給される仕組みになっています。
保険料納付状況が受給額に大きく影響しますが、保険料自体に個人差がないため、老後の年金額にもそれほど大きな個人差が見られません。
1.2 「厚生年金」平均月額を確認
つづいて、公務員や会社員が受給する「厚生年金」の月額を見ていきましょう。
※国民年金部分を含む
【60歳代:国民年金の平均月額】
平均:14万3613円
- 65歳:14万5372円
- 66歳:14万6610円
- 67歳:14万4389円
- 68歳:14万2041円
- 69歳:14万628円
65歳~69歳の厚生年金の平均月額は14万3613円でした。
厚生年金は、会社員や公務員などが国民年金に上乗せして加入する年金です。保険料は、現役時代の給与や賞与などの報酬により決定するため、個々でバラバラです。
老後の年金額は、保険料や年金加入期間により決定するため個人差が大きい年金となります。厚生年金の平均は14万円台ですが、10万円に満たない方、30万円以上の方などさまざまです。
いまのシニアの年金暮らしをのぞく上で「平均月額」は参考となりますが、収入に対しての支出額や家族構成など事情はさまざまありますので、「自分の場合はどのくらい?」かを確認しておきましょう。