現時点での採用時の最も低い平均時給は「1086円」、最低賃金をすでに上回る結果に

株式会社帝国データバンクの「現時点で従業員を採用する際の最も低い時給に関する調査」では、時給の全体平均が1086円となり、2022年度の最低賃金961円より125円高く、2023年度の目安である1004円を82円上回る結果となりました。

採用時の最低賃金を業種別にみると、「不動産」「建設」「サービス」が全体を上回る結果となっています。

一方で「小売」「運輸・倉庫」などの業種では、最低賃金が他の業種よりも下回っています。

「人材確保」や「雇用維持」を目的として、最低賃金を高めに設定する動きがある反面、物価高といった影響もあり「賃金を上げたいけど余裕がない」といった実情も見て取れます。

初の最低賃金「1000円超」だが課題も山積みか

本記事では、実際の調査データをもとに、企業の最低賃金の引き上げに関する対応について解説していきました。

2023年度の全国平均の最低賃金目安は1004円となり、現在の961円より43円上昇しています。

最低賃金目安制度が始まって以来初の「1000円超」であり、上げ幅は過去最大となっています。

2023年度の最低賃金目安は、各都道府県のそれぞれの地域で実額が決定した後に発効となるため、適用は10月頃になると見込まれます。

今回の最低賃金引き上げを受け、8割以上の企業が「対応する」姿勢をみせており、具体的な対応策としては「賃上げを行う」が7割を超える結果に。

その一方で、最低賃金を引き上げることで「年収の壁を招く人が就労時間を控えるようになる」「物価高により賃上げが企業の負担になる」といった問題点もあることから、年収の壁や、物価高に対する制度の見直し・対応が急がれるとうかがえます。

参考資料

太田 彩子