ソフトバンクグループのセグメント
「持株会社投資事業」、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業」、「ソフトバンク事業」および「アーム事業」の4つを報告セグメントとしている。
ソフトバンクグループの持株会社投資事業
当事業を構成する会社が保有する投資先は、アリババやTモバイル、ドイツテレコムなど約120社と、SB Northstarからの投資先である。ほとんどがSVFからの投資(以下「FVTPL」という)の金融資産として認識されるものである。FVTPLの金融資産に該当する投資は、四半期ごとに公正価値を測定し、その変動額を「投資損益」として連結損益計算書に計上する。
アリババやドイツテレコム、Tモバイルの株価下落に伴い、投資損失6897億円を計上している。デリバティブ関連利益8488億円で補ったものの、為替差損4661億円を計上したことにより、セグメント損失は3945億円となった。
ソフトバンクグループのソフトバンク・ビジョン・ ファンド事業
当事業の業績には、主にソフトバンク・ビジョン・ファンド1(SVF1)、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2(SVF2)およびソフトバンク・ラテンアメリカ・ファンド(LatAmファンド)における投資および事業活動の結果が含まれている。
SVF1およびSVF2は、AIを活用した成長可能性の大きな企業へ投資し、中長期的視点から投資成果を最大化することを目指す。LatAmファンドは、急速に発展するラテンアメリカでデータとテクノロジーを活用し産業の変革を目指す企業に投資している。
SVF事業からの投資損益は1598億円、セグメント利益は610億円となり、当事業は黒字転換となった。
なお、当事業のSVF事業からの投資損益には、SVFが保有する当社子会社(主にアーム、PayPay株式会社)への投資に係る投資損益が含まれることに注意が必要である。
具体的には、SVF1およびSVF2が保有する当社子会社(主にアーム、PayPay株式会社)の株式に係る未実現評価益(純額)1755億円がセグメント利益に含まれている。しかしながら、連結損益計算書では未実現評価損益は消去している。そのため、連結損益計算書ではSVF事業からの投資損益▲130億円となっており、セグメント利益610億円と大幅な乖離が生じている。
同社では、セグメント利益と連結財務諸表計上額を区分していることから、乖離が生じている。
以上より、「投資事業が黒字化」については上記を踏まえて理解する必要がある。
ソフトバンクグループのソフトバンク事業
当事業の業績には、ソフトバンク株式会社が主に日本国内で行っているモバイルサービスの提供や携帯端末の販売、ブロードバンドサービスやイーコマースサービスの提供などの事業活動の結果が含まれている。コアビジネスである通信事業の持続的な成長を図りながら、「Yahoo! JAPAN」、「LINE」といったインターネットサービスや、キャッシュレス決済サービス「PayPay」などのAI・IoT・FinTechを含む最先端テクノロジーを活用したビジネスの展開を通じ、通信以外の領域の拡大を目指している。
モバイルサービスの通信料値下げの影響でコンシューマ事業が減益となった一方、メディア・EC事業およびエンタープライズ事業が増益となったことなどにより、セグメント利益は前年同期比+14.7%の2550億円であった。
ソフトバンクグループのアーム事業
アームは主に、低消費電力型マイクロプロセッサーおよび関連テクノロジーのデザインなど、半導体のIP(回路の設計情報などの知的財産)のライセンス事業を行っている。
アームの業績は、半導体市場の動向によりプラスにもマイナスにも大きく影響を受ける。市場の売上高はその成長に応じて増加し、アームのロイヤルティー収入の増加をもたらす。
また、市場の成長はアームの顧客による活発な製品設計活動を促す可能性があり、アームがより多くの最新テクノロジーをライセンスする機会が生まれ、ライセンスおよびその他の収入の増加につながる。
現在アームは、株式公開に向けて準備している。アーム上場が同社に与えるインパクトは大きなものとなる。