70歳代の貯蓄額はいくら?「貯蓄4000万円以上」の安泰な人も
一昔前までの日本では、60歳代に定年を迎え、老後生活に突入するのが一般的でした。
現在は働くシニアが増えつつあり、60歳代でも現役で働いている人は多く存在します。
実際に総務省が発表した調査データによると、60〜64歳の71.5%、65歳〜69歳の50.3%が就労しています。
60歳代後半でも半数以上の人が就労していることから、現代では「還暦を過ぎたら退職して静かに暮らす」という老後生活をしている人のほうが少なく、70歳代以降から徐々に老後生活を迎える人のほうが多いのかもしれません。
では、70歳代以降から老後生活を始めると想定した場合、70歳代の貯蓄額はどのくらいになっているのでしょうか。
総務省統計局の家計調査によると、70歳代の貯蓄別の世帯数割合は【図表】のようになりました。
70歳以上の総世帯数が187万4554世帯となっており、そのうち「貯蓄4000万円以上」の割合は約18%。貯蓄割合の中でも最も高くなっています。
貯蓄2000万以上の世帯も含めると約42%となります。
一方で、貯蓄が100万円に満たない世帯は、全体の約8%を占めており、70歳代の中でも「貯蓄4000万円以上の安泰な人」と「貯蓄100万円未満の十分でない人」の二極化傾向にあることがわかります。
70歳代で「貯蓄4000万円以上」は安泰?
前章では、70歳以上の世帯のうち約18%が「貯蓄4000万円以上」だとわかりました。
一見、貯蓄が4000万円以上あれば「老後は安心」と感じてしまいますが、果たして本当に貯蓄4000万円以上の世帯は老後が安泰であると言えるのでしょうか。
結論からお伝えすると、受給できる年金額やライフスタイルによっては「安泰と言えない」ケースもあります。
たとえば、70歳二人暮らしの夫婦世帯が、下記の条件で90歳まで老後生活を送ると仮定します。
- 貯蓄額:4000万円
- 月々の支出費用:30万円
- 年金受給額:厚生年金を受給(25万円を想定)
この場合、毎月の赤字は約5万円です。
赤字の補填を貯蓄からまかなう場合は20年間で約1200万円となるため、仮に介護費用やリフォーム費用がかかったとしても、安定した老後生活を送れる可能性が高いでしょう。
では、70歳二人暮らしの夫婦世帯が、下記の条件で90歳まで老後生活を送る場合はどうでしょうか。
- 貯蓄額:4000万円
- 月々の支出費用:30万円
- 年金受給額:国民年金を受給(13万円を想定)
上記の場合だと、毎月の赤字が17万円となり、こちらも20年間、赤字分を貯蓄から切り崩すとなると、20年間で4000万円以上が必要です。
介護費用やリフォーム費用などを考えると、安泰とは言い切れません。
「貯蓄額が多い=老後は安心」というわけではなく、老後の収入額やライフスタイルによっては足りなくなる可能性もあるため、老後の収入と支出をしっかりと想定したうえで、貯蓄をしていけると良いでしょう。