社会保険料の推移
では最後に、社会保険料の推移をみていきましょう。
社会保険料は、下記3つの保険料から構成されています。
- 健康保険料
- 介護保険料
- 雇用保険料
それぞれの保険料の推移について解説していきます。
1. 健康保険料
健康保険は、会社員や公務員などが加入している「被用者保険」と、フリーランスや農業者などが加入している「国民健康保険」の2つが存在します。
被用者保険の1つである「全国健康保険協会」の、2023年と1993年の保険料率は【図表3】のとおりです。
30年前の保険料率を比較すると、1.8ポイントほど上昇していることがわかります。
2. 介護保険料
介護保険料は、40歳以上になると支払う義務が発生します。
社会全体で介護を支える目的で、2000年に創設されたものとなっています。
2023年と2000年の介護保険料の保険料率は【図表4】のとおりです。
こちらも、健康保険料と同様に上昇傾向にあり、2023年の1.82%は過去最大の介護保険料率となっています。
3. 雇用保険料
雇用保険は、失業・雇用継続等に関する保険の制度となっています。
雇用保険の2023年の労働者負担 (失業等給付・育児休業給付の保険料率のみ)は0.6%となっており、2022年と2023年の保険料率を比較すると0.1%上昇しています。
こちらは、2017年以降変わっていなかったため5年ぶりの改定となり、雇用保険料も保険料率が上昇していることがうかがえます。
停滞する賃金と増え続ける税負担
本記事では、日本の平均年収の実態と共に、消費税や社会保険料の推移について解説していました。
日本の平均年収は、過去30年間でほとんど変わっておらず、停滞し続けていることがわかりました。
その一方で、消費税・社会保険料の税負担は年々上昇し続けており、給与から自由に使えるお金が以前よりも減っていることがうかがえます。
近年では、保険料の負担が上昇しているだけでなく、物価の上昇も続いています。
日本国民にとっては、ますます生活が苦しくなる状況が続いていることから、政府がどのような措置をとるのか注目が集まっています。
参考資料
- 財務省「国民負担率(対国民所得比)の推移」
- 国税庁「令和3年分 民間給与実態調査」
- 国税庁「平成14年分 民間給与実態統計調査」
- 国税庁「平成13年分 民間給与実態統計調査」
- 国税庁「税の歴史」
- 財務省「消費税について教えてください」
- 全国健康保険協会「保険料率の変遷」
- 厚生労働省「介護保険制度について」
- 厚生労働省「雇用保険料率について」
太田 彩子