大学を卒業するために必要な教育費の総額は?
前章では、大卒と高卒の生涯賃金に大きな差が生じることについて解説しました。
とはいえ、大学に進学するためにはそれなりの費用がかかります。
本章では「国立大学」と「私立大学」それぞれの進学に必要な学費を見ていきましょう。
国立大学の学費は、文部科学省の省令によって標準額が定められており、年間の授業料は53万5800円となっています。
国立大学の入学料も同様に標準額が定められており、28万2000円です。
上記をふまえ、国立大学に進学した際にかかるトータルの費用は下記のようになります。
- 入学料:28万2000円
- 授業料:53万5800円(※)
- 4年間の総額費用:242万5200円
※標準額の20%までの増額が認められています
一方で私立大学の場合は、文部科学省の調査によると、授業料の平均は93万943円、入学料が24万5951万円となっています。
さらに私立大学では、上記に加えて施設設備費がかかり、平均で18万186円です。
上記をふまえ、私立大学に進学した際にかかるトータルの費用は下記のようになります。
- 入学料:24万5951円
- 授業料:93万943円
- 施設設備費:18万186円
- 4年間の総額費用:469万467円
国立大学と私立大学の4年間の総額費用をみると、学費が大きく異なることがわかります。
また、理系や医学部など、学問や分野によっても学費はさらに増える可能性も大いにあるでしょう。
そのため、大学を卒業するためにかかる費用は、約350万円から550万円ほどを目安にしておくと良いです。
「大卒・高卒」トータルでみると大卒のほうがお得なのか
本記事では、「大卒と高卒」の退職金及び生涯賃金の差を徹底比較していきました。
一般的に大卒のほうが生涯賃金が高卒よりも高い傾向にあり、その差は約5000万円から8000万円となっています。
大学に進学した場合、約350万円から550万円の費用がかかりますが、生涯賃金の差をみると、費用分は回収できているといえます。
とはいえ、現代においては以前よりも「実力主義」を求める企業が多くなってきていることから、高卒でも高収入の人は多くいます。
また、高卒の場合は大卒よりも早い時期から働けるため、若さを活かして活躍できるのもメリットと言えるでしょう。
変わりつつある現代においては、大卒・高卒それぞれにメリットがあるため、トータルの金額だけでは、一概にどちらが得するかは言えなくなっているのかもしれません。
変わりゆく現代の流れにも視野を向けながら、大卒・高卒どちらがお得なのか、考えられると良いでしょう。
参考資料
- 東京都産業労働局「中小企業の賃金・退職金事情(令和4年版)」
- 中央労働委員会「令和3年賃金事情等総合調査」
- 独立行政法人労働政策研究所・研修機構「ユースフル労働統計2022 ―労働統計加工指標集― 21 生涯賃金など生涯に関する指標」
- 文部科学省「国立大学と私立大学の授業料等の推移」
- 文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
太田 彩子