【住宅ローン】「繰り上げ返済 vs 資産運用」4つの注意点

住宅ローンの繰り上げ返済か資産運用かを判断する際の注意点を見ていきます。

注意点①:資産運用はリスクを伴う

先述したとおり、資産運用はあくまでも「期待」であり住宅ローン繰り上げ返済の金利負担軽減のように「確実性」のあるものではありません。

また、住宅ローン金利を大きく上回るような期待値の高いものに投資すると、損失も大きくなる可能性が高くなりますのでリスクやそのリスクの大小を理解した上で投資判断をしましょう。

注意点②:住宅ローン控除が適用されなくなるケースがある

住宅ローン控除を受けるにはさまざまな要件があります。繰り上げ返済により、返済期間短縮や返済残高が減ると、住宅ローン控除が減額あるいは受けられなくなる可能性があります。

ただし、ローン金利が高いほどに、住宅ローン控除額を受けるよりも繰り上げ返済をするほうが総合的に有利となるケースもあります。実行前に金融機関に確認しましょう。

注意点③:団信(団体信用生命保険)の効果が薄くなる

団信(団体信用生命保険)は、住宅ローン返済期間中に契約者が死亡した場合に、残りのローン残高が保険金によって完済される保険です。

繰り上げ返済実行後に、万が一、契約者が亡くなった場合でも繰り上げ返済した資金は戻りません。繰り上げ返済の効果も結果的に得られなかったことになってしまいます。

結果論になってしまいますが、繰り上げ返済せずに手元に資金を置いておけばよかったとなるケースもあるということを考慮しておきましょう。

注意点④:突発的な大きな出費に対応できない

繰り上げ返済により利息負担を軽減することはできますが、手元にまとまった資金がなくなることで突発的な大きな出費に対応できなくなるケースも考えられます。

自動車購入費用や教育費など、用途によって資金を分けているかと思いますが、想定外の出費にも対応できるよう余裕資金も置いておきましょう。

繰り上げ返済も資産運用もケースバイケース

住宅ローンの返済は、20年、30年と長きに渡るうえに、金利負担を考えると早期完済を目指したいと考えるでしょう。

しかし、金利・返済期間・ローン残高や、個々の家計事情によって必ずしも繰り上げ返済が正しい選択と言えないケースもあります。

NISA口座開設を条件に住宅ローン金利を引き下げるプランを提供する金融機関もありますので、「住宅ローン返済」と「資産運用」を並行していくことは選択肢の一つとして検討してみても良いかもしれないですね。

住宅ローンも資産運用も「時間」をかけて返済・投資していくものですので、ライフプランをたて多角的にみて選択するようにしましょう。

参考資料

和田 直子