みなさん、セカンドライフについて、どのような理想をお持ちですか?

物価上昇が続き、将来に対して漠然とした不安を抱えている人は多いことでしょう。また、つみたてNISAやiDeCoなどの制度が充実している背景もあってか、世代問わず、投資に興味を持っている方が増えているように思います。

筆者は、普段個人の資産運用に関する相談業務を行っているのですが、相談の内容・目的を伺うと「将来のために投資をしたい」とおっしゃる方が多いように感じます。

将来に備えるのはとても大切なことですが、先のことに集中しすぎていまの生活を楽しめないのは本末転倒です。

セカンドライフの主な収入源となる「公的年金」。まずは、老後にどのくらい年金を受け取れるのかを把握して、老後の収入をベースに備えるべき目標額を定めてみましょう。

今回は60歳代の国民年金と厚生年金の受給額を見ていきます。

1. 【60歳代】国民年金・厚生年金の受給額

いまの60歳代の人は、「国民年金・厚生年金」をどれくらいもらっているのでしょうか。

厚生労働省の「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」で確認していきます。

1.1 「国民年金」平均受給額(月額)を確認

まずは「国民年金」から見ていきましょう。国民年金の保険料は一律です。保険料を全期間(480カ月)納めた場合は、満額の月額6万6250円(2023年度)を受給することができます。

未納がある場合には、その期間分が減額される仕組みになっています。

【65歳~69歳:国民年金の平均受給額(月額)】

  • 平均:5万7739円

老齢年金の受給開始年齢は原則65歳以上です。60歳から65歳未満で年金を受け取る場合は、繰り上げ受給といって受給額が減額されてしまいます。

ここでは、65歳以上の年金受給額についてみていきます。

  • 65歳:5万8078円
  • 66歳:5万8016円
  • 67歳:5万7810円
  • 68歳:5万7629円
  • 69歳:5万7308円

国民年金の平均受給額(月額)は、5万7739円でした。

セカンドライフの理想は人により異なりますが、国民年金だけの収入で理想の生活を送るのは難しいと考える方の方が多いのではないでしょうか。

1.2 「厚生年金」平均受給額(月額)を確認

つづいて、公務員や会社員が受給する「厚生年金」の月額を見ていきましょう。

【65歳~69歳:厚生年金の平均受給額(月額)】

  • 平均:14万3613円

ここでも65歳以上の年金受給額について見ていきましょう。
※下記金額には、国民年金部分を含む

  • 65歳:14万5372円
  • 66歳:14万6610円
  • 67歳:14万4389円
  • 68歳:14万2041円
  • 69歳:14万628円

厚生年金の年金額は、現役時代の年収や加入期間によって決定するため、個人でバラつきがあります。

また、受給額には国民年金の金額が含まれていることには注意が必要です。

いまの65歳以上の方が受け取る厚生年金の平均受給額は14万3613円ということがわかりました。

手厚いといわれる厚生年金でも、やはり老齢年金だけで理想のセカンドライフを叶えるのは難しそうですね。

しかし、教育資金や住宅ローンなどの大きな支出がない、あるいは減りつつあるであろう60歳代。現役世代ほどの生活費がかからないのであれば、年金収入だけでやりくりできるのでは?と頭をよぎった方もいるかもしれません。

60歳代の生活費についても把握しておきましょう。