児童手当などの拡充に向けた財源確保の第一歩は「歳出改革」
今から7年後の2030年以降の、こども家庭庁における予算が約2倍に増えるとなれば、相応する財源をどう確保するかが問題です。
現時点では、2026年に向けた約3兆円の予算確保には、消費税を含めた新たな税負担ではなく、「歳出改革」が予定されています。
歳出とは、国や地方公共団体の1年間の支出のことをいいます。
つまり、国の経費などの支出を大きく見直すことで、3兆円のうち、2兆円を捻出することになりそうです。
3兆円のうち、残り約1兆円は、社会保険制度のうちの病気やけがのための医療保険内の支出の見直しが検討されています。
たとえば医療保険では、薬が重複支給されて「飲み残し」となるケースが問題になっており、薬の支給の在り方の見直しが提案されています。
それ以外にも、医療費のムダが発生している点の見直しなどの歳出改革が検討されています。
扶養控除(38万円)は廃止方向へ。現状のままなら早生まれは空白の1年あり
児童手当が現在の中学生卒業までから高校卒業までに拡充となるかわりに、「扶養控除」が、取りやめとなるかもしれません。
扶養控除とは、納税する者に所得税法上の控除対象扶養親族になる人がいる場合、一定額の所得控除を受けられる制度です。
その年12月31日現在の年齢が16歳~18歳の子どもを持つ親などは、年間38万円の扶養控除が受けられます。
しかし、今後、16歳~18歳の子どもが児童手当の支給対象に変更になることで、扶養控除が受けられなくなる可能性があります。
なぜなら、児童手当の毎月1万円と毎年38万円の扶養控除で、二重補助になってしまうというのが理由だからです。
もし扶養控除が廃止されれば、その分、所得税などの負担が高まることが心配されます。
仮に、扶養控除の扱いが今のままであれば、子どもが扶養控除に該当するのは、12月31日時点で16歳以上になったときから。
注意したいのは、同じ高校1年生であっても、早生まれの人であれば「高校1年生=15歳」という点です。
その場合、早生まれの子どもが扶養控除の対象になるのは、同学年の12月31日以前に生まれた人よりも1年遅れ、高校2年生からです。
扶養控除に該当するかどうかについては「12月31日時点の年齢」での判断となるため、同じ高校1年生であっても、扶養控除を受けるタイミングは、誕生日を迎える時期によってはズレが生じることになります。
児童手当の拡充は、岸田内閣による「異次元の少子化対策」の一部です。
今後、さらなる財源確保の具体案、さまざまな少子化対策への動きなどに注目しましょう。
参考資料
舟本 美子