いよいよ夏本番。食費や生活必需品に加えて、ライフラインの高止まりに頭を抱えているご家庭は少なくないでしょう。
一方、わたしたちの給与はなかなか変わりません。しかし、老後生活の収入の柱となる老齢年金は、前年度より、67歳以下は2.2%、68歳以上は1.9%、引き上げとなりました。
2023年から新たに年金を受け取り始める場合、40年間保険料を納付した場合に受け取れる「満額」の方の国民年金では月に1434円増の6万6250円とのことです。
国民年金と厚生年金を受給できる会社員の夫と専業主婦の妻、夫婦2人のモデル世帯では月に4889円増の22万4482円となります。
公的年金の支給額が引き上げられるのは3年ぶりです。
しかし、物価上昇の勢いがすさまじく、”年金増”の明るいニュースもかき消されてしまいますね。
では、いまのシニア世代はどのくらいの年金を受給できているのでしょうか。
今回は、老齢年金世代「60~90歳以上」の国民年金・厚生年金の受給額を1歳刻みで確認しながら、老後資金の必要性について考えていきたいと思います。
1. 日本の公的年金のしくみ
まずは日本の年金制度について簡単に確認しておきましょう。
日本の公的年金制度は「国民年金」と「厚生年金」、2つの制度で構成されています。
この制度は「2階建て」などとも呼ばれます。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
1.1 国民年金(1階部分)
- 加入対象:原則、日本に住む20歳から60歳未満の方
- 保険料:一律(年度ごとに見直し)2023年度は月額1万6520円
- 年金額:満額79万5000円(※)✕ 調整率(未納期間がある場合は差し引かれます)※令和5度の年額
1.2 厚生年金(2階部分)
- 加入対象:主に会社員、公務員など
- 保険料:報酬比例制(毎月の報酬により決定)
- 年金額:加入期間や納付保険料によって決まります(国民年金に上乗せで支給)
国民年金は保険料が全員一律のため受給額に大きな差が出にくい傾向がありますが、厚生年金は給与が高いほど納める保険料も高くなるため、将来受け取れる年金額も増える、という特徴があることをおさえておきましょう。