2. 70歳代の貯蓄格差はまさにピンキリ!
さきほどのグラフから、70歳代以上・二人以上世帯の貯蓄額(金融資産を保有していない世帯を含む)の分布をチェックしていきましょう。
2.1 70歳代以上の貯金事情・二人以上世帯「金融資産保有額」の分布
(金融資産を保有していない世帯を含む)
- 非保有:18.7%
- 100万円未満:5.9%
- 100~200万円未満:4.1%
- 200~300万円未満:2.8%
- 300~400万円未満:4.0%
- 400~500万円未満:2.2%
- 500~700万円未満:7.5%
- 700~1000万円未満:6.5%
- 1000~1500万円未満:10.3%
- 1500~2000万円未満:7.1%
- 2000~3000万円未満:10.0%
- 3000万円以上:18.3%
- 無回答 :2.7%
中央値である「貯蓄800万円以上」をクリアする世帯は全体の約半分です。
さらに、約2割が「金融資産非保有」、つまり「貯蓄がない世帯」という結果に。また、同じく約2割が「3000万円以上」を保有しています。
つまり、70歳代の貯蓄事情には、まさにピンキリとも呼べる格差が存在しているのです。
退職金の有無や親からの相続も大きな要因ですが、やはり若い頃からコツコツと投資や貯蓄を行っていたかどうかも、影響を与えていると言えるでしょう。
3. そもそも「老後2000万円問題」とは
ここで、かつて話題となった「老後2000万円問題」について復習しましょう。
「2000万円」という数字が生まれた根拠について、金融審議会「市場ワーキング・グループ」(第21回 厚生労働省提出資料)をもとに整理します。
3.1 必要な老後資金が「2000万円」と試算された根拠
- 実収入(主に年金):20万9198円
- 実支出(主に食費):26万3718円
- 月々の赤字額=約5万5000円
老後必要額=5万5000円×12カ月×30年(老後30年と仮定)=1980万円≒約2000万円
資料では上記の試算を行った上で、「標準的な」無職の夫婦が老後を30年生きるにあたり、公的年金だけでは2000万円が不足する、と結論づけました。
ただし、こちらの収支は2017年の統計をもとに試算されたものです。実際に必要となる生活費は、家族構成やライフスタイル、そして健康状態などにより人それぞれですね。
さらに2017年と比較して物価の高騰もあり、現役世代が老後を迎える際には2000万円よりも、もっと大きな金額が必要になることも考えられます。
年金が減少傾向にあり、賃貸住まいが増え、さらにインフレが進む今後の社会において、2000万円以上が必要となるケースは決して驚く話ではないでしょう。
また、民間の老人ホームなどに入所をした場合、初期費用だけで100万円〜1000万円単位での出費が発生することも珍しくありません。