老後の備えに「投資」も選択肢のひとつ

では最後に、老後の備えとしておすすめの投資について紹介していきます。

結論からお伝えすると、初心者が老後資金のために投資をする場合は「新NISA」と「iDeCo」が検討しやすいです。

順にどのような制度なのか見ていきましょう。

●新NISA

NISAは、NISAの制度を利用して発生した利益に対して税金がかからない制度です。

通常の株式や投資信託などの金融商品に投資する場合は、利益や配当に対して約20%の税金がかかりますが、NISAはその部分が非課税となるため、投資をする人にはお得な制度と言えるでしょう。

NISAは2024年に制度の内容が大きく変更され「新NISA」となり、さらに資産を増やしていきやすくなっているため、老後を見据えて投資を始める方には検討しやすい制度です。

現行のNISAでは、年間投資額の上限枠が少なく、非課税で保有できる期間が短かったことから、老後資金のために長期的に投資するには、やや課題点がありました。

しかし新NISAでは、年間投資額上限が大幅に増額されただけでなく、非課税で保有できる期間が無期限となったことから、どの年代で投資を始めても老後までNISAを活用して資産運用がしやすくなっています。

年間投資額上限の幅が広がったことで、老後生活が始まるまでの期間が短い方でも、短期間で老後資金を投資できるのは大きなメリットでしょう。

また、非課税の保有期間が無期限になったことから、老後は非課税で運用を続けつつ、少しずつ資金を取り崩せる形ができるのも良い点と言えます。

ただし、元本保証はありません。大切な老後資金を守るためにもリスクはきちんと把握し、余裕資金で始めることが大切です。

●iDeCo

iDeCoは、年金とは別に老後資金を自分で作るための年金制度となっています。

そのため、原則として60歳にならないと拠出した掛金と運用益を引き出すことができません。

その一方で、iDeCoは利益に税金がかからないだけでなく、月々の掛金が所得控除の対象となるメリットもあるため、節税をしながら老後資金を作れるのは大きなメリットと言えます。

iDeCoの場合も、リスクを十分に理解した上で始めることが大切です。

少額から老後資金の備えを投資してみるのもひとつ

本記事では、国内の20歳代から60歳代を対象にした「投資を始めたきっかけ」や「株式証券を選ぶポイント」について紹介していきました。

証券会社の口座を保有している約半数の人が「老後資金の不安」から投資を始めており、老後に対する不安感を抱いて資金準備をしている人が多いことがわかります。

一方で、現状投資に回せている金額は約半数が100万円未満です。

投資と聞くと数百万円単位の資産がまず必要と思ってしまいがちですが、実際は少額から投資を始めている人も多く、日本ではNISAやiDeCoといった少額から始められる投資も多く存在しています。

「老後に向けてそろそろ資金の準備をしなければ」と考えている人は、記事を参考に少額から老後資金に向けて投資を始めてみることも検討してみてはいかがでしょうか。

参考資料

太田 彩子