みなさんは「年金の受け取り方で損をするかもしれない」「オトクな年金の受け取り方がある」などの話を聞いたことはないでしょうか。
現役時代のうちに少なくない保険料を納めているのですから、損するような年金の受け取り方はしたくないものですね。
今回は働きながら損なく年金を受け取るポイントとして、在職老齢年金についてご紹介していきます。
厚生年金が減額される仕組みや、満額が受け取れる給与の目安について見ていきましょう。
1. 老後に働くと「厚生年金が減額される」ワケ
老後に働くと、「厚生年金が減額される」ということが起きるケースがあります。
「収入を増やすために働いているのに、なぜ年金が減額されるの?」と不思議に思う人も多いかもしれませんね。
これは、「働くことで一定以上の賃金を得ている60歳以上の老齢厚生年金受給者」を対象とした在職老齢年金の仕組みがあるからです。
もともとの厚生年金は「退職した人」を支給要件としていたため、「そもそも在職中の人には年金は支給しない」という考え方でした。
現代では働くシニアも増えたため、「働きながらも厚生年金に加入する人」が増えています。こうした背景から「年金を受け取れる対象」を拡大してきたのです。
そして在職老齢年金制度により、老後も一定以上の賃金を得ている(基準を超えた)場合は年金が減額されるというわけです。
働きながら年金を受給できる人は増えているのですが、年金制度を維持するためにも調整は仕方のない側面があるといえるでしょう。
2. 在職老齢年金制度で「年金カット」される基準の金額とは
年金が減額される在職老齢年金の基準は、年金と給与の合計額で決まります。
日本年金機構の在職老齢年金の計算方法のフローチャートでイメージしてみましょう。
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出所:日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
フローチャートのうち、基本月額とは「加給年金額を除いた老齢厚生(退職共済)年金(報酬比例部分)」の金額をさします。また、総報酬月額相当額とは、「その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与額」を12で割ったものをさします。
ざっくりいうと「厚生年金の月額」と「給与」と「直近1年以内のボーナスを12で割ったもの」の合計額と覚えておきましょう。
この金額が1カ月あたり48万円以下であれば、支給停止されず年金は全額支給されます。
しかし48万円を超える場合は一部減額または全額支給停止となり、「基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-48万円)÷2」の計算式に基づいた在職老齢年金の調整がおこなわれることになります。
仮に基本月額を10万円、総報酬月額相当額を50万円とした場合、「(10万円+50万円-48万円)÷2=6万円」となりますから、年金が6万円減額されて4万円だけ支給される計算です。
3. 在職老齢年金を意識した働き方
2022年3月以前は、さきほどの厚生年金と収入額が月28万を超えると在職老齢年金の減額対象となっていました。
そのため、60代前半では半数を超える人が支給停止の対象となっていたのです。
2023年4月以降は基準が48万円まで引き上げられたため、支給停止の対象となる人は減っているでしょう。
しかし、定年退職後も何らかの形で働く人が増えている今、好条件で仕事を続けられた場合には基準額を超えてしまう可能性もあります。
在職老齢年金の減額基準に引っかからない範囲で働きたいという方は、48万円を意識しておくとよいでしょう。
4. 老後の収入源は年金だけじゃない
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シニアの就業率は増加傾向にあります。長生きリスクに備えるため、老後も仕事を続けようと考えている人もいるのではないでしょうか。
しかし、今回ご紹介した「在職老齢年金」はしっかり意識しておく必要があります。また、老後もフルタイムでの働き方を続けるよりは「老後の余暇を楽しみたい」という人も少なくないでしょう。
そんな方は「ほどほどの収入と、ほどほどの貯蓄の切り崩し」が合うのかもしれません。
老後の収入源は年金だけではありません。老後資金の貯蓄や保険なども視野に入れ、ゆとりを持った暮らしができるだけの備えをしておきたいですね。
参考資料
岡崎 泰輔