あらたな児童手当の財源は?
児童手当令和4年度予算の給付額と財源は【表3】のとおりです。
内訳を見ると多くの財源は国の負担によるもの、ということがわかります。新しい制度で増える財源の確保は、現在議論が続けられている真っ只中です。
岸田首相は、児童手当の財源を消費税などの増税で賄うつもりはないと表明しており、まず行うべきは歳出をできる限り削減することだと「経済財政運営と改革の基本方針2023」の草案で述べられています。
こども特例公債の発行や、社会保険料の引き上げなど、財源確保のさまざまなニュースが飛び交っていますが、現在では公式な発表はありません。
現実的に増税をなくして、新制度の運用はできるのでしょうか。
国民からの指示を得るために、増税のタイミングを見計らっているようにも見えます。
扶養控除が見直しになる?
児童手当拡充の一方、扶養控除が見直しになるのでは?という憶測が飛び交っています。
話の根拠となっているのは、現行の児童手当との整合性です。
現行の児童手当では、児童手当の対象となっている中学生は扶養控除の対象ではありません。
児童手当の対象を高校生まで拡充した場合、現行制度との整合性を優先して考えると、高校生は扶養控除の対象から外れます。
もし、高校生を扶養控除の対象にする場合、現在対象外になっている中学生はどうするのか?という声も出てくるでしょう。
新制度の施行は来年度中としていますが、それまでに細かい調整が必要です。
まとめにかえて・財源の確保が喫緊の課題
新しい児童手当の主な変更点は、所得制限の撤廃と、高校生までの子をもつ全世帯へ対象を拡充、第3子以降は手当増額の3点です。
児童手当の拡充にあたって、当面の課題は財源の確保です。
対象範囲が増えることで、かなりの額の予算が新たに必要となります。
政府は「増税はせずに無駄な歳出を削減することで予算を捻出する」としていますが、果たしてうまく財源を確保できるのでしょうか。
議題に上がっている扶養控除の見直しやこども特例公債の発行など、今後の展開に注目したいところです。
参考資料
LIMO編集部