厚生年金や日本年金機構によると、2023年度の「標準的な夫婦※」の年金額は、月額22万4482円です。
※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43万9000円)で 40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
3年ぶりの引き上げとなり、初回は6月15日に支給されました。
一方、「標準的な夫婦」と呼ばれる夫婦形態は専業主婦世帯が想定されており、現役世代が目安とするのは難しいものがあります。
共働きの割合が増え、生涯未婚率も上昇中する昨今。さまざまな家族形態・働き方でシミュレーションしてみることが重要になるでしょう。
そこで今回は、2023年度の年金額を見るとともに、実際に支給された月額から「「標準的な夫婦・おひとりさま世帯」のパターンごとに目安を見ていきます。
1. 厚生年金と国民年金のキホン「2階建て構造」
公的年金には基礎年金(国民年金)と厚生年金があり、上図のように2階建て構造となっています。
それぞれから支給される年金には「障害年金」「遺族年金」「老齢年金」があり、老後に受給するのは老齢基礎年金と老齢厚生年金となります。
1.1 国民年金(基礎年金)
1階部分の国民年金には、日本国内に住む20~60歳未満の全員が原則加入します。保険料は全員一律で、3年分の推移は下記のようになっています。
- 2021年度:1万6610円
- 2022年度:1万6590円
- 2023年度:1万6520円
40年間すべて保険料を支払っていれば「満額」、支払っていない期間があれば、その分が満額から差し引かれます。
1.2 厚生年金
2階部分が厚生年金です。厚生年金には会社員や公務員が「国民年金に上乗せして」入ります。
厚生年金の保険料は報酬比例制で、受給額は納めた保険料や加入期間に応じて決まることに。つまり、年収が高い人や長く働いた人ほど、受け取る年金額も高くなるという仕組みなのです。
2. 国民年金と厚生年金は2023年度でいくら?
2023年度の年金額が、3年ぶりの増額改定となりました。初回支給日は6月15日。すでに多くのシニアが増額された年金を受け取っています。
2023年度に支給される老齢基礎年金の満額は、67歳以下の場合月額6万6250円。68歳以上は月額6万6050円です。
また、夫婦2人分の標準的な年金額は月額22万4482円とされました。
冒頭でお伝えしたとおり、これは夫婦2人分の老齢基礎年金に加え、夫の厚生年金(平均標準報酬43万9000円で40年間就業した場合)を含んだ金額です。
今の年金世代では「専業主婦世帯」が多いため、少なくとも共働き世帯やシングル世帯にはあてはまりません。
そこで次の章では、実際に支給された年金額を踏まえ、「家族構成や働き方」のパターンごとに試算してみましょう。