投資商品としてその名をよく聞く”投資信託”。耳慣れている方も多いでしょう。
しかし一方で、そのしくみやメリットに関してはよくわからないという方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は初心者向けに投資信託のしくみやメリットを解説していきます。
また、投資信託の始め方やおすすめの証券会社も紹介するので、投資信託のスタート講座としてぜひ役立ててください。
この記事を読んでわかること
- 投資信託の概要
- 投資信託のメリット
- 投資信託の始め方
投資信託とは?
まずは投資信託の基本を解説します。
投資信託とは「プロに資金の運用を任せられる投資商品」のことです。
大まかに言えば以下のようなしくみとなっています。
- 投資家は自分の投資方針にあったファンド(投資信託商品)を選んで資金を提供
- ファンドが集まった資金を運用
- 投資家は運用の利益を得られる
要するに「餅は餅屋」をそのまま投資に当てはめたような金融商品が投資信託です。
ただし、投資家は運用をプロに代行してもらう代わりに以下のようなコストを負担することになります。
- 購入時手数料:投資信託の購入時にかかる手数料。最近では手数料を無料とするノードロードといわれる投資信託も増えてきている。
- 信託報酬:投資信託を保有している間、かかる手数料。投資信託の銘柄によって異なる。
- 信託財産留保額:投資信託を売却するときにかかる手数料。最近では信託財産留保額を設定していない投資信託も多い。
投資信託のメリット7選
では投資信託にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは主なメリットとして以下の7つを紹介します。
- 資産や地域を選んで投資できる
- 譲渡益と配当が期待できる
- 少額から始められる
- ほったらかし投資ができる
- インデックス投資ができる
- リスクを低減した投資ができる
- NISAやiDeCoによる税制優遇が受けられる
1.資産や地域を選んで投資できる
2023年3月末時点における投資信託の商品数は5965本となっています(投資信託協会のデータに基づく公募投資信託の数)。
商品ごとに運用方針や運用スタイルが異なり、投資する資産や地域もバリエーション豊かです。
そのため投資家は投資したい地域や資産に合致したファンドを選ぶことができます。
実際にいくつかの商品(ファンド)を見てみましょう。
<投資信託の例>
投資信託は決して何もかもをプロに任せなければいけない商品ではありません。
商品を比較、選定することを通じて、自分の好みにあった資産・地域に投資できるのです。
2.譲渡益と分配金が期待できる
投資家は投資信託に対して2種類の利益を期待できます。
- 譲渡益
- 分配金
譲渡益とは投資信託が購入当初よりも値上がりした状態で売却することで得られる利益です。
投資信託の値段(基準価額)は運用成績が良いほどに上昇します(投資先の株価の上昇など)。
またファンドによっては分配を行っているところもあります。
分配とは運用で得られた利益を投資家に還元することです(普通分配金)。
分配を行うと運用総額が少なくなる点には注意が必要です。例えば、分配を行うことで運用総額が200万円から100万円に減ると、年率5%の運用で得られる利益は10万円から5万円に減少します。そのためあえて分配を行わないファンドも数多く存在します。
3.少額から始められる
少額から始められる点も投資信託のメリットです。
投資信託の購入方法には一括投資と積立投資の2種類があります。
- 一括投資:投資信託を一括で購入する方法
- 積立投資:毎月1万円など間隔と金額を決めて自動購入していく”つみたて型”の購入方法
積立投資であれば毎月100円などの少額からでも購入できるため、初心者でもスタートしやすくなっています。
4.ほったらかし投資ができる
投資信託はプロが責任をもって運用に当たってくれるので、購入後はある程度ほったらかしでも問題ありません。
一方、企業の株を買って運用するようなケースでは、日々変わる株価をチェックしながら売買を行う必要があります。
忙しい社会人であれば投資信託による時間節約効果は大きなメリットとなるでしょう。
5.インデックス投資ができる
インデックス投資ができることも投資信託のメリットです。
インデックス投資とは、日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)などのインデックス(指数)に連動した値動きを目指す投資スタイルのことです。
投資信託にはインデックス投資を行うインデックスファンドが多数あります。
市場平均に連動した投資をしたい方にピッタリのファンドであり、投資銘柄数が非常に多いことから安定した資産形成にも向いています。
<インデックスの例>
- 日経平均株価:東京証券取引所プライム市場上場企業225社で構成される日本の株式市場の動向を示す指数
- S&P500:米国を代表する500社で構成される指数。米国市場の動向を反映している
- FTSE Global All Cap Index:全世界の小型~大型株約9000銘柄で構成される株価指数
6.リスクを低減した投資ができる
投資ではリスクを低減することが重要です。
たとえば、日本の上場企業一社の株式に集中投資するケースを考えてみましょう。
このような場合、以下の要因によって株価が急落する可能性があります。
- 災害などによる株式相場の急落
- 投資先の企業の不祥事発覚
上記のような要因によって自分の資産が大きく傷つかないようにするためには、投資先の国や資産、銘柄を分散することが大切です。
この点、投資信託はプロが分散投資を代行してくれるため、初心者でもリスクを低減した運用ができます。
7.NISAやiDeCoによる税制優遇が受けられる
NISAやiDeCoといった税制優遇制度を活用できるのも投資信託のメリットです。
NISAは対象の投資商品から得られる利益が一定期間非課税となる制度です(投資の利益には通常約20%の税金がかかります)。
2023年現在は一般NISAとつみたてNISAの2種類があり、それぞれ以下のように詳細が異なります。
iDeCoは老後の資金を形成するための私的年金です。
毎月5000円から掛金を拠出し、投資信託などを運用することで将来の資産形成を目指します。
掛金と運用益(利益)は60歳以降に年金や一括の形式で受け取ることができます。
iDeCoには以下の3つの節税メリットが用意されています。
- 掛金が全額所得控除の対象となる(住民税や所得税が安くなる)
- 運用益が非課税になる(通常、投資の利益には約20%の税金がかかる)
- 給付を受ける際も税金を圧縮できる(受け取り方によって控除の枠がある)
このような税制優遇制度を利用できる点も投資信託を始める大きなメリットです。
投資信託の始め方
ここまで投資信託のメリットを紹介してきました。
投資信託の運用に興味を持った方も多いかもしれません。
そこでここからは投資信託の始め方を解説します。
実際に投資信託を運用してみたいと思っている方は参考にしてください。
ステップ1.運用商品を決める
投資信託のラインナップは金融機関によって異なるので、まずは運用する商品を決めるのが理想です。
現状で特に運用したい商品が決まっていない人には全世界株式のインデックスファンドがおすすめです。
全世界株式とは全世界の株式市場の値動きに連動することを目指す投資信託であり、リスク分散の効いた安定運用が期待できます。
「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2022」で第1位に輝いた「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」などの人気商品から検討してみましょう。
ステップ2.証券口座を開設する
投資信託を運用するにはまず証券口座を開設する必要があります。
証券口座は各金融機関の公式サイトから申し込みが可能です。
ステップ3.証券口座に資金を入れる
証券口座の開設が完了して初期設定を行うと取引が可能となります。
投資信託は証券口座の残高で購入するので、まずは資金を入金しましょう。
ワンポイント
投資信託の積立投資ではクレジットカードによる決済が可能です。クレジットカードを利用することで、証券口座に毎回資金を入金する手間が不要となるほか、決済額に応じてクレジットカードのポイントがたまります。
ステップ4.投資信託を購入する
資金の入金が完了したら投資信託を購入しましょう。
購入スタイルは一括投資と積立投資の2種類から選べます。
購入後は基準価額の変化や運用経過を報告するマンスリーレポートを定期的にチェックすることをおすすめします。
投資信託を運用するのにおすすめの証券会社
投資信託を運用するには金融機関の証券口座が必要です。
ここでは投資信託の運用におすすめの証券会社として以下の2社を紹介します。
- SBI証券
- 楽天証券
1. SBI証券
SBI証券は、2023年中に国内株の手数料無料化を目指しており、コスト意識が高い人であれば注目必須の証券会社です。
国内の個別銘柄はもちろん、米国株をはじめ世界9カ国の銘柄に投資できます。米国株の取扱銘柄数は6000を超えており、主要ネット証券最高水準。
現在、国内株は0円から取引可能であり、IPO取り扱い銘柄数も、主要ネット証券(SBI・楽天・松井・マネックス・auカブコムの5社)の中ではダントツの実績を誇っています。
また、投資信託のサービスも充実しており、保有額の最大0.25%がPontaポイントやTポイントとして還元されるほか、投資信託の購入には「Tポイント」「Pontaポイント」を1ポイント1円として利用できるので、少額から投資したい方にも最適です。
投資信託の購入に三井住友カードを利用すれば、最大5%のポイント還元が受けられ、たまったVポイントは1ポイント1円で投資信託の買付に利用できるほか、景品との交換やキャッシュバックサービスにも使えます。
おすすめポイント
- 1日100万円までの取引なら手数料無料(国内株)
- 投資信託の保有でTポイントやdポイントがたまる
- 三井住友カードの投信クレカ積立で最大5.0%のVポイントがたまる
- IPO引受社数NO.1(2022年3月通期)
- 充実の米国株&投資信託ラインナップ
2. 楽天証券
楽天証券は800万口座を超えている日本屈指の証券会社です。
楽天カードを使って投信積立を行うと、ポイント還元率最大1%で楽天ポイントが貯まるほか、投資信託の購入に楽天ポイントを利用できます。
そのため「普段から楽天ポイントを貯めている方」におすすめのネット証券会社です。
また、楽天証券と楽天銀行を連携するマネーブリッジを利用すれば、楽天銀行の普通預金金利が最大0.1%になるのも魅力的。株の購入時には、証券口座の不足分が楽天銀行の普通預金残高から自動入金される自動入出金(スイープ)サービスも便利です。
おすすめポイント
- 1日100万円までの取引なら手数料無料(国内株)
- 投資信託の保有で楽天ポイントがたまる
- 楽天カードで投資信託を購入すると楽天ポイントがたまる
- 充実のつみたてNISAラインナップ
- 楽天銀行との連携で普通預金金利が0.1%にアップ
参考資料
- 投資信託協会「投資信託の全体像(純資産総額・ファンド本数)直近データのバックナンバー」
- 金融庁「つみたてNISAの概要」
- 金融庁「一般NISAの概要」
- iDeCo公式サイト「iDeCo(イデコ)の特徴」
まとめ
投資信託のメリットをまとめると以下の通りです。
- 資金運用をプロに任せられる
- 日経平均株価に値動きを連動させるものなど商品バリエーションが豊富
- 少額から始められてNISAやiDeCoで利益の非課税措置も受けられる
【注目記事】投資初心者は何から始めるべき?失敗しないコツや投資先を解説【証券アナリスト監修・CFP執筆】
MeChoice編集部