先週の世界株式市場の動き

先進国が概ね好調に推移した一方で、新興国市場の株価調整が顕著となった1週間

先週(2017年9月25日~9月29日)の世界の株式市場は、日米欧など先進国市場で概ね堅調に推移した一方、多くの新興国市場では下落する局面となりました。

  • 日経平均株価(日本)  +0.3%上昇
  • TOPIX(日本)  +0.6%上昇
  • NYダウ(米国)  +0.2%上昇
  • Nasdaq指数(米国)  +1.1%上昇
  • FTSE100(英国)  +0.8%上昇
  • DAX(ドイツ)  +1.9%上昇
  • 香港ハンセン指数(香港)  ▲1.2%下落
  • 上海総合指数(中国)  ▲0.1%下落
  • ムンバイSensex(インド) ▲2.0%下落
  • ボベスパ指数(ブラジル)  ▲1.5%下落

注:いずれも先週末(9月29日)と先々週末(9月22日)の終値比較。該当日に株式市場が休場の場合は、その直前営業日の終値。

日米欧の主要先進国の株式市場は概ね堅調に推移

先週は特に目立ったイベントも少なく、やや材料に乏しい展開となりました。しかし、一連の北朝鮮リスクも小康状態だったことから、先進国市場ではリスクオンモードが継続し株価は堅調に推移しました。

欧州では、総選挙でメルケル首相、および与党連立政権が勝利を収めたことから、ドイツの株式市場は大幅続伸となりました。また、他の欧州各国も概ね堅調に推移したようです。米国の株式市場は週前半こそ調整していましたが、トランプ大統領が新たな法人税引き下げプランを打ち出し、後半は上昇しました。

そして、選挙相場に突入した日本の株式市場は、28日に衆議院が解散された直後は上値が重くなる場面が見られたものの、その後の円安進行などを背景に巻き返し、大幅上昇となった先々週の勢いを何とか維持したと見られます。

FOMCの結果を受ける形で新興国市場は株価調整色が強まる

一方、多くの新興国市場は冴えない値動きとなりました。特に、年初から大幅上昇が続いてきた香港、インド、ブラジルなどは軒並み大幅下落となり、それまでの上昇トレンドに明らかな変化の兆しが見えています。

この背景にあるのが、先々週に行われたFOMCの結果と考えられます。FOMCの結果自体は想定の範囲内でしたが、FRBが膨れ上がったバランスシートの縮小を開始することが明言されたため、新興国からの投資資金引き上げの懸念が高まりました。

今後、この動きは加速する可能性もあるので、一過性の調整では済まないかもしれません。いずれにせよ、引き続き注意が必要です。

今週の世界株式市場の注目点

米国の雇用統計とFRB議長講演が注目点、日本の政治情勢も注視が必要

今週(10月2日~10月6日)は、米国雇用統計の発表やイエレンFRB議長の講演など、週後半の米国市場の動きが要注目です。また、日本の政治情勢にも目を向ける必要もありそうです。さらに、小康状態にある米国と北朝鮮の軍事挑発バトルの再発にも留意したいところです。

今週予定されている株式市場にインパクトを与えそうな主な予定は以下です。

  • 10月1日~8日:国慶節・中秋節の大型連休(中国)
  • 10月2日~9日:各部門のノーベル賞発表
  • 10月2日:日銀短観(9月調査分、日本)
  • 10月2日:ISM製造業指数(9月分、米国)
  • 10月3日:耐久財受注(8月分、米国)
  • 10月4日:イエレンFRB議長の講演(米国)
  • 10月6日:雇用統計(9月分、米国)

注:日程は現地時間。現時点での予定のため変更になる可能性あり。

雇用統計発表前のイエレンFRB議長のポロリ発言に要注意か?

今週から名実ともに10月相場です。まずは、週末6日(金)に発表される米国の雇用統計に注目が集まるでしょう。先々週に行われたFOMCの結果、具体的には12月の利上げ実施を睨んだ動きに沿う内容なのかが焦点です。

また、その2日前に行われるイエレンFRB議長の講演にも注意するべきでしょう。この講演は公式行事ではありませんが、こういった非公式イベントでは金融市場に影響を与えるような発言がポロッと出てきてしまうケースは少なくありません。見方によっては、イエレンFRB議長の“ポロリ発言”は今週最大のリスク要因とも言えましょう。

連立与党の安定多数が困難になると株式市場にも影響必至

衆議院が解散された日本では、公示日(10月10日)を前に実質的な選挙戦モードに突入しました。

しかし、ここに来て野党で大きな動きが起きているのはご存じの通りです。突然キーパーソンとなった東京都知事の小池氏を中心とした野党連合の動きは注目です。

7月の東京都議会選挙で大勝利を収めた小池氏の動向次第では、自公連立与党の勝利に疑問符が付く可能性があります。その場合、“選挙相場”が一転して、政治情勢混乱を懸念した日本株売りに繋がることは十分にあり得ましょう。

今後は、与党がインパクトのある経済対策を打ち出せるかどうかがカギになりそうです。

大型連休入りした中国からの訪日観光客の行動の変化も注目

また、いったんは小康状態にある北朝鮮リスクが要注目です。金融市場では北朝鮮リスクに対する免疫ができていますが、それを上回るメガトン級の軍事挑発行動が起きないとも限りません。

その他では、中国が国慶節の大型連休に入っており、日本への旅行客が急増する時期となりました。その観点では、インバウンド関連銘柄の動きも焦点となりそうです。特に、訪日観光客の行動は、従来の「爆買い」から「質」を求めたものになっており、関連銘柄にも変化が出てくるでしょう。

LIMO編集部