配当金や株主優待を目的に株式投資を行っても、日々の株価の変動は気になるものです。長期投資であっても身銭を切って投資しているので、株価が気になるのは仕方ありません。
株価の変動は、企業業績のみならず日本そして世界経済全体の流れからも大きな影響を受けます。そして株価の変動は、株式のリターンに大きな影響を与えます。
よって配当や優待を目的に株式に投資した場合でも、「株価の値上がり・値下がり」は株式のリターンとしては欠かすことができない要因です。
今回はニデック(6594)について、配当金や株主優待、株価もあわせた「1年前に100株を買った人の本当のリターン」を確認します。
※記事中で記載の株価は全て終値となっています。
※株式分割の影響は全て遡及修正して株価を調整しています。
1. ニデック(旧:日本電産・6594)の配当金のリターンはいくらか
ニデックの株式を1年前に買い、持ち続けたとすると、「2023年3月期の中間配当と、2023年3月期の期末配当」の計2回を受け取ることができます。
なお、配当基準日を迎えた時点でリターンが確定したとします。
今回の検証では、以下のような想定となります。
- 株式の取得日:2022年6月2日
- 株式の取得価格:8727円(取得日の終値)
- 2023年3月期・中間配当:35円
- 2023年3月期・期末配当:35円
- 100株ベースの配当金のリターン:7000円
それでは次に、株主優待のリターンを計算していきます。
2. ニデックの株主優待のリターンはいくらか
ニデックは「毎年3月31日現在」で株を保有している投資家に優待を提供しています。
1株以上保有した株主が受け取れる優待は、以下の通りです。
- 日本電産サンキョー「オルゴール記念館すわのね」の無料入館リーフレット(一般の入館料が大人1000円、小中学生500円)
- 来館時5000円以上の商品を買った場合は10%割引き
今回は大人の入館料1000円が無料とし、また5000円の商品を購入した時の割引額は500円とします。
そのため、優待のリターンは1500円です。
3. ニデックの株式投資のトータル・リターンはいくらか
以上、配当金と株主優待のリターンについて振り返ってきました。
次に、株価変動によるリターンを計算します。
- 株式の取得日:2022年6月2日
- 株式の取得価格:8727円(取得日の終値)
- 取得から1年後の日付:2023年6月2日
- 1年後の株価の終値:7371円
- 100株ベースの株価変動によるリターン:▲13万5600円
そして最後に、トータル・リターンを計算します。
- 配当金のリターン:7000円
- 株主優待のリターン:1500円
- 株価変動によるリターン:▲13万5600円
- トータル・リターン(金額ベース):▲12万7100円
- トータル・リターン(%ベース):▲14.6%
トータル・リターンは金額ベースで▲12万7100円でした。
4. ニデックの配当金の推移を確認
ニデック株式の年間リターンは▲14.6%でした。
最後にニデックの配当金の推移を確認しましょう。
配当金・株主優待・株価とそれぞれ分解して株式のリターンを確認すると、どの要素がリターンに影響を与えているか一目瞭然となります。
配当金や株主優待を目的に長期視点で投資した場合でも、株価水準を確認して、株式全体としてのリターンも把握しておきましょう。
参考資料
石井 僚一