KDDIの株価は年初来、1月に一時的な下落があった後は概して堅調で、右肩上がりの状況となっています。

値動きは比較的落ち着いていて、年初来の上昇幅は5月26日時点で約7.7%となっています(終値ベース。以降も特記ない限りは終値で表記)。

KDDIの株価推移:2022年11月1日~2023年5月26日

出所:各種資料をもとに筆者作成

年初は通信障害の再発防止策の策定や返金対応が重しとなりましたが、2月に発表した2024年3月期の業績見通しで、2024年度は通信障害の業績への影響が解消される見込みであることを発表したことなどにより、株価は上昇に転じたと考えられます。

今回はKDDI(9433)の株価や配当金、株主優待などについて見ていきましょう。

※株式分割の影響は、株価や配当金、株式数など全て遡及修正して株価を調整しています。
※記事中で記載の株価は全て終値となっています。

【注目記事】鹿島(1812)の株価は下落。配当利回りは3.4%(2023年5月30日・株式取引概況)

1.【KDDI(9433)の株価】年初は通信障害の影響が尾を引いたか

KDDIは2022年7月に通信障害を引き起こし、返金や再発防止策の整理などの対応を余儀なくされました。2023年3月期第1四半期決算説明会と同時期に通信障害に関する説明があり、返金が9月以降に発生する見通しを表明しています。

9月以降からようやく返金が始まるスケジュールであることから、返金の影響は7-9月だけでは判明せず、10-12月にも影響が続くと懸念されていたと考えられます。2023年3月期第2四半期では通信障害に関する対応について説明されており、対応が途上である状況が浮き彫りとなりました。

決算説明資料を見ると、2023年3月期第2四半期と第3四半期にて通信障害は減益要因として説明されています。反転材料に乏しい中で、2023年3月期第3四半期が発表される2023年2月初までは緩やかな下落が続いたのだと思われます。

2.【KDDIの株価】2023年3月期第3四半期で持ち直したか

2023年2月に発表された2023年3月期第3四半期を契機にKDDIの株価は上昇トレンドに転じたと思われます。

売上高は4兆1829億円で前年の4兆138億円対比で増収、通信障害への返金や対応費用、燃料高など逆風要因が複数存在する中で、営業利益も8434億円(前年同期8746億円)と想定の範囲内の減益幅に留めたことが安心材料になったと考えられます。

また、2024年3月期の見通しにおいて、通信障害の影響が最長でも年度内で収束し、次年度は影響を及ぼさないという見込みを公表。収束のめどが立ったこともポジティブに捉えられたと思われます。