配当金や株主優待を目的に株式投資を行っても、日々の株価の変動は気になるものです。長期投資であっても身銭を切って投資しているので、株価が気になるのは仕方ありません。

株価の変動は、企業業績のみならず日本そして世界経済全体の流れからも大きな影響を受けます。そして株価の変動は、株式のリターンに大きな影響を与えます。

よって配当や優待を目的に株式に投資した場合でも、「株価の値上がり・値下がり」は株式のリターンとしては欠かすことができない要因です。

今回はJT(2914)について、配当金や株主優待、株価もあわせた「1年前に100株を買った人の本当のリターン」を確認します。

※記事中で記載の株価は全て終値となっています。
※株式分割の影響は全て遡及修正して株価を調整しています。

【注目記事】【日本郵船の株(9101)】配当金や株主優待、リスクとは。商船三井・川崎汽船とも比較

1. JT(2914)の配当金のリターンはいくらか

JTの株式を1年前に買い、持ち続けたとすると、「2022年12月期の中間配当」と、「2022年12月期の期末配当」の計2回を受け取ることができます。

出所:日本たばこ産業株式会社「2023年12月期 第1四半期決算短信[IFRS](連結)」

なお、配当基準日を迎えた時点でリターンが確定したとします。

今回の検証では、以下のような想定となります。

  • 株式の取得日:2022年5月26日 
  • 株式の取得価格:2351円(取得日の終値)
  • 2022年12月期・中間配当:75円 
  • 2022年12月期・期末配当:113円
  • 100株ベースの配当金のリターン:1万8800円

それでは次に、株主優待のリターンを計算していきます。

2. JTの株主優待のリターンはいくらか

JTは決算期(12月31日)現在、100株以上保有する株主に対して、2500円相当のグループ会社等の商品を贈呈しています。

出所:日本たばこ産業株式会社「株主優待」

そのため、優待のリターンは2500円です。

ただし、2022年2月14日に2023年の株主優待商品の発送をもって、株主優待制度の廃止を発表しています。


3. JTの株式投資のトータル・リターンはいくらか

以上、配当金と株主優待のリターンについて振り返ってきました。

次に、株価変動によるリターンを計算します。

  • 株式の取得日:2022年5月26日
  • 株式の取得価格:2351円(取得日の終値)
  • 取得から1年後の日付:2023年5月26日
  • 1年後の株価の終値:3072円
  • 100株ベースの株価変動によるリターン:+7万2100円

そして最後に、トータル・リターンを計算します。

  • 配当金のリターン:1万8800円
  • 株主優待のリターン:2500円
  • 株価変動によるリターン:+7万2100円
  • トータル・リターン(金額ベース):+9万3400円
  • トータル・リターン(%ベース):+39.7%

トータル・リターンは金額ベースで+9万3400円でした。

4. JTの配当金の推移を確認

JT株式の年間リターンは+39.7%でした。

最後にJTの配当金の推移を確認しましょう。

出所:日本たばこ産業株式会社「配当」

配当金・株主優待・株価とそれぞれ分解して株式のリターンを確認すると、どの要素がリターンに影響を与えているか一目瞭然となります。

配当金や株主優待を目的に長期視点で投資した場合でも、株価水準を確認して、株式全体としてのリターンも把握しておきましょう。

参考資料

石井 僚一