株式を買う際、配当や優待だけでなく、気になるのが「株価の変動」でしょう。

配当や優待を受けとっていても、株価の変動は社会情勢や企業業績などによって時に大きく動き、リターンに影響を与えるもの。

株式投資において、「株価の値上がり・値下がり」は見逃せない要因です。

今回はオリックス(8591)について、配当金や株主優待、株価もあわせた「1年前に100株を買った人の本当のリターン※」を確認します。

※株式分割の影響は、株価や配当金、株式数など全て遡及修正して株価を調整しています。
※記事中で記載の株価は全て終値となっています。

【注目記事】「商船三井・日本郵船・川崎汽船」が2024年3月期の配当金予想を公表。これまでの配当金と株価推移や株主優待、リスクとは?

1. オリックス(8591)の配当金のリターンはいくら?2024年3月期の配当金予想は増配へ

オリックスの株式を1年前に買い、持ち続けたとすると、「2023年3月期の中間配当と2023年3月期の期末配当」計2回を受け取ることができます。

出所:オリックス株式会社「2023年3月期 決算短信〔米国基準〕(連結)」

なお、配当基準日を迎えた時点でリターンが確定したとします。

今回の検証では、以下のような想定となります。

  • 株式の取得日:2022年5月18日
  • 株式の取得価格:2305円(取得日の終値)
  • 2023年3月期・中間配当:42.80円
  • 2023年3月期・期末配当(会社予想):42.80円
  • 100株ベースの配当金のリターン:8560円

なお、オリックスの2024年3月期の配当金予想は中間で42.80円、期末で51.20円、合計94円となっています。

それでは次に、株主優待のリターンを計算していきます。

2. オリックスの株主優待のリターンはいくらか

オリックスは「毎年3月31日現在及び9月30日現在」株主名簿に記載のある株主に、下記のような優待を提供しています。

2.1 オリックスの株主カードによる優待(3月・9月)

宿泊・食事・野球観戦・水族館など、オリックスグループ提供の各種サービスが優待価格で利用できます。

2.2 オリックスの株主優待「ふるさと優待」(3月のみ)

※オリックス取引先の取扱商品が掲載されたカタログギフトより、お好きな商品を1点

  • 3年以上継続保有:Aコースカタログより1点(Bコースよりワンランク上)
  • 3年未満保有:Bコースカタログより1点

なお、「株主カード」と「ふるさと優待」による株主優待制度は、2024年3月31日時点の当社株主名簿に記載ある株主さまへのお届けをもって廃止となります。

オリックスの優待内容では明確な金額は定まらないですが、今回の検証では優待の経済価値を3000円と想定します。
そのため、優待のリターンは3000円となります。

3. オリックスの株式投資のトータル・リターンはいくらか

以上、配当金と株主優待のリターンについて振り返ってきました。

次に、株価変動によるリターンを計算します。

  • 株式の取得日:2022年5月18日
  • 株式の取得価格:2305円(取得日の終値)
  • 取得から1年後の日付:2023年5月18日
  • 1年後の株価の終値:2431円
  • 100株ベースの株価変動によるリターン:+1万2600円

そして最後に、トータル・リターンを計算します。

  • 配当金のリターン: 8560円
  • 株主優待のリターン:3000円
  • 株価変動によるリターン:+1万2600円
  • トータル・リターン(金額ベース):+2万4160円
  • トータル・リターン(%ベース):+10.5%

トータル・リターンは金額ベースで+2万4160円でした。

4. オリックスの配当金の推移を確認

オリックスの株式の年間リターンは+10.5%でした。

最後にオリックスの配当金の推移を確認しましょう。

出所:オリックス株式会社「配当方針・配当状況」

配当金・優待・株価とそれぞれの要素を確認すると、どのような影響が株式投資のリターンにあらわれているかわかりやすいでしょう。

今回確認した通り、株式投資の際は配当や優待だけでなく、株価水準についてもきちんと確認してみてください。

参考資料

宮野 茉莉子