株式投資の中でも、高配当株銘柄として商船三井や日本郵船といった海運株に興味を抱かれている方もいるのではないでしょうか。

配当利回りの高さは魅力的ですが、一方でリターンに大きな影響を与える株価や株主優待も見過ごせません。また、これまでの配当金や株価の推移を確認することも重要でしょう。

今回は海運大手三社である商船三井(9104)・日本郵船(9101)・川崎汽船(9107)の配当金と株主優待、株価をみていきます。

※記事中で記載の株価は全て終値となっています。
※株式分割の影響は全て遡及修正して株価を調整しています。

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1.【商船三井・日本郵船・川崎汽船】配当金の推移と配当利回り

近年、高配当銘柄として名高い海運株ですが、これまでの配当金推移と配当利回りをそれぞれ見ていきましょう。

1.1 商船三井の配当金の推移と配当利回り

出所:株式会社商船三井「配当方針・実績」

  • 2018年度:15円
  • 2019年度:22円
  • 2020年度:50円
  • 2021年度:400円
  • 2022年度:560円
  • 配当利回り:5.59%(2023年5月9日終値3245円)

※商船三井は2017年10月1日付の株式併合(10株につき1株の割合)、また2022年4月1日付の株式分割(1株につき3株の割合)後の株式数にもとづいて換算した数値を記載。

なお、商船三井は「2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」にて、2024年3月期の配当金予想を中間100円、期末80円、年間で合計180円としています。

出所:株式会社商船三井「2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」

1.2 日本郵船の配当金の推移

出所:日本郵船株式会社「配当・株主優待」

  • 2018年度:3円
  • 2019年度:7円
  • 2020年度:67円
  • 2021年度:483円
  • 2022年度:520円(※参考「2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」)
  • 配当利回り:16.10%(2023年5月9日終値3168円)

※株式分割後基準

日本郵船は2022年9月30日を基準日および10月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っており、上記は株式分割後になります。

なお、日本郵船は「2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」により、2024年3月期の配当金予想を中間で60円、期末で60円、年間合計で120円としています。

出所:日本郵船株式会社「2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」

1.3 川崎汽船の配当金の推移

出所:川崎汽船株式会社「株主還元」

  • 2019年3月期:0.00円
  • 2020年3月期:0.00円
  • 2021年3月期:0.00円
  • 2022年3月期:600.00円
  • 2022年3月期(予想):ー円(株式分割前基準による1株当たり年間配当金の予想は1200円)※。
  • 配当利回り:5.75%(2023年5月9日終値3480円)

※株式分割後基準

2022年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行ったため、2023年3月期の中間配当は当該株式分割前の株式数を対象、2023年3月期の期末配当は当該株式分割後の株式数を基準としている。なお、合計の1株当たり配当金予想については株式分割により単純比較ができないため非表示だが、株式分割前基準による1株当たり年間配当金の予想は1200円。

なお、川崎汽船は「2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」にて、2024年3月期の配当金予想を中間で100円、期末で100円、年間合計で200円としています。

出所:川崎汽船株式会社「2023年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」

2.【商船三井・日本郵船・川崎汽船】株主優待の内容

次に3社の株主優待を比較しましょう。

商船三井は「毎年3月31日現在及び9月30日現在」100株以上所有する株主に、下記のような優待を提供しています。

  • 客船「にっぽん丸」で実施する一般募集のクルーズご優待を1クルーズお一人様2枚まで提供。
  • 9月期のみフェリーサービス「さんふらわあ」のフェリーサービスで利用できる共通クーポン券を提供。

日本郵船は決算期(3月31日)現在、100株以上保有する方に向けて、飛鳥クルーズの優待割引券を提供しています。

「決算期後の7月1日より翌年9月30日までのクルーズ」で、「優待割引券1枚につき1クルーズ1名様10%の割引」が利用できます。

商船三井も日本郵船も、優待券の送付枚数は保有する株数により異なります。

なお、川崎汽船に株主優待はありません。

3.【商船三井・日本郵船・川崎汽船】株価推移とリスクとは

最後に3社の2020年5月1日~2022年5月1日までの株価推移を確認します。

出所:各種資料をもとに筆者作成

出所:各種資料をもとに筆者作成

商船三井と日本郵船は似た値動きとなっており、2020年5月は500円近くでしたが、2021年より急に上昇し、2022年は基本的に2500~3500円の間を推移しています。

出所:各種資料をもとに筆者作成

川崎汽船も、2020年5月は500円近くでしたが、2021年に上昇し2022年は2000~3500円の間を推移しています。

この一因として、主力事業の一つであるコンテナ船運賃の高騰が考えられます。

コンテナ船運賃は英バルチック海運取引所が発表する、外航不定期船の運賃指数である「バルチック海運指数」を確認すると、2021年に入り高騰しているのがわかります。しかし、バルチック海運指数は2022年夏以降下落し、それ以降はもみ合いの状態が続いています。

3社とも2021年に株価が急騰したものの、2022年夏頃に一時下落しその後もみ合いが続いているため、コンテナ船運賃の影響を受けたことが理由の一つと考えられるでしょう。

去年は海運バブルともいわれましたが、一方で海運業界は景気敏感株ともいわれており、業績が読みにくいという特徴もあります。2024年3月期の配当予想は昨年度に比べて下がっていましたが、今後は業績によって配当金の減配や株価の下落リスクがある点については考えておきたいところです。

このように株式投資ではこれまでの推移や業績についても見ていきましょう。

参考資料

宮野 茉莉子