最近はネットで「運用」と検索すると、必ず出てくるのがつみたてNISA。かなり身近になったなと感じる方も多いのではないでしょうか。
つみたてNISA制度を利用すれば、通常は運用益に20.315%かかる税金が年40万円まで、最長20年間非課税になります。
ただし、運用には必ずリスクがありますし、金融商品によってパフォーマンスも異なります。そして、つみたてNISAはあくまで投資信託等を活用した制度ですので元本保証はありません。
SNSでみんながやっているからと、飛びついてしまう方も多いようです。今回はこれからつみたてNISAをはじめる人に向けて、買ってはいけないインデックス投信をご紹介します。
つみたてNISAは213本の商品から自分で選ぶことに
つみたてNISAでは金融庁が厳選した金融商品の中から自分で選び、毎月一定額を買い付けていきます。
金融庁によると、つみたてNISAの商品は213本あり、以下のように種類が分かれています。
- 指定インデックス投資信託:183本
- 指定インデックス投資信託以外の投資信託(アクティブ運用投資信託等):23本
- 上場株式投資信託(ETF):7本
出典:金融庁「つみたてNISAの対象商品」(2022年4月26日時点)
一番本数が多い「インデックス投資信託」は株価指数などのベンチマーク(指標)に連動する運用成績を目指す投資信託です。
例えば、日本株式ならTOPIXや日経平均、米国株式ならNYダウ、世界株式ならMSCI指数といった指標があります。
「アクティブ運用投資信託」とはベンチマークを上回る運用成績を目指すもので、一般的に手数料も高めに設定されています。
では、つみたてNISAで運用中の方はどちらのタイプを選んでいるのでしょうか。金融庁の「NISA 口座の利用状況調査(2021年6月末時点)」によると、つみたてNISAで実際に買付された商品別の割合は下記の通りです。
- インデックス投資信託…80.8%
- アクティブ投資信託…12.9%
- ETF…0.02%
この割合からみても、初心者の方が始めやすいのは、手数料も安く、投資対象の8割を占めるインデックス投信であるといえますね。
次では、選んではいけないインデックス投信の4つの特徴をお伝えしていきます。
【買うべきじゃない投信1】自分ではよくわからず勧められただけの商品
今はネットやSNSを見ればつみたてNISAに関する情報が数多く載っており、具体的にどのインデックス投信がおすすめかも紹介されています。
金融商品の数が多いので、参考にするのは構いません。
しかし「このサイトやこの人が勧めているから多分大丈夫」と鵜呑みにして、ろくに調べもせずはじめるのはやめましょう。
実際にどのような先に投資しているのか、信託報酬はいくらかなど、内容については自身で必ず確認しましょう。つみたてNISAは長期間運用することで、利息に利息がつく複利の効果を期待するものです。
お金が必要になれば売却して引き出すことはできますが、基本的には10年以上運用を続ける方が多いでしょう。
つまり、長期間運用し続けても自分で大丈夫だと思えるものを選ぶ必要がありますね。投資は自己責任なので、利益を得るのも、損をするのも責任はすべて自分にあります。
ネットやSNSで紹介している人も当然責任は取ってくれません。だからこそ「おすすめだから」「人気だから」という受け身の姿勢ではなく、自分で調べて自分の頭で考えてください。
【買うべきじゃない投信2】信託報酬が他に比べて高い
投資信託を選ぶ際の基準の1つが、運用や管理にかかるコスト「信託報酬」です。金融庁がつみたてNISAのために選定した指定インデックス投信の報酬には下記の決まりがあります。
- 国内資産を対象とするもの:信託報酬0.5%以下(税抜き)
- 海外資産を対象とするもの:信託報酬0.75%以下(税抜き)
インデックス投信ではベンチマークと同じ値動きを目指す運用方針のため、同じベンチマークの投信の成績はほとんど変わりません。
そこで差が出てくるのが、信託報酬などの運用のコストになります。
同じベンチマークの投資信託であれば、信託報酬が安いものを選ぶといいでしょう。「1%以下の手数料ならそこまで大差ないのでは」と思いがちですが、信託報酬は保有している間ずっとかかるものです。
リターンにも影響するため、できるだけコストが低い商品に投資をするのは基本中の基本です。ほとんど同じ投資対象で運用している場合は、信託報酬が低い方を選ぶといいでしょう。
【買うべきじゃない投信3】安定を売りにしている
つみたてNISAは通常20.315%運用益にかかる税金が非課税になる制度です。つまり、利益が出ていなければメリットを享受できません。
ただはじめて投資をする方で陥るのが、リスクが怖くて必要以上に安定的になってしまうことです。
これから資産を増やしたいと考えるあなたが、成長しない資産に投資をしていたら矛盾してしまいますよね。
つみたてNISAは長期で運用が可能で運用益が非課税となる制度です。
これから資産を増やしていきたい方は、まずは腰を据えて長期で成長する資産に投資すると良いでしょう。
【買うべきじゃない投信4】分散しすぎている
投資信託のメリットは分散投資ができることです。
投資対象地域が「先進国」「新興国」「全世界」のもの、対象資産が「株式」「債券」「REIT」など様々な種類があります。
しかし、分散し過ぎもよくありません。成長が見込めない資産に分散しても、運用資金をただ無駄に分散してしまうことになります。
そこで、「毎月積立」と「投資信託」の仕組みだけで分散をしましょう。「毎月積立」することで購入するタイミングが分散できます。また、「投資信託」を活用することで中身も分散されています。
成長が期待できる資産に投資ができる「投資信託」を「毎月積立」することでかなり分散効果は高まります。
これから資産を増やしていきたい方は「分散しすぎ」にも注意しましょう。
まとめにかえて
岸田首相が「1億総株主」を掲げているように、今後さらにつみたてNISAは注目を集めていくでしょう。
お気に入りの投資信託を見つけて、楽しく資産運用をスタートできるといいですね。
金融機関によって取り扱いの投信は異なりますので、スタートする前にどんな投信があるか確認しておきましょう。
参考資料
宮内 勇資