企業の業績動向や社会情勢の変化などによって、株価が大きく変動することがあります。
株価の動向は株式投資のリターンに大きな影響を与えるため、注意を払う必要があるでしょう。
株式投資のリターンを考える際は、配当金や株主優待だけではなく、株価変動も含めてトータルで考えることが大切です。
今回は日本郵船(9101)について、配当金や株主優待、株価もあわせた「1年前に100株を買った人の本当のリターン※」を確認します。
なお、商船三井は2022年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っているため、分割後で調整します。
※記事中で記載の株価は全て終値となっています。
※株式分割の影響は全て遡及修正して株価を調整しています。
【注目記事】「商船三井・日本郵船・川崎汽船」が2024年3月期の配当金予想を公表。これまでの配当金と株価推移や株主優待、リスクとは?
1. 日本郵船の配当金のリターンはいくらか
日本郵船の株式を1年前に買い、持ち続けたとすると、「2023年3月期の中間配当と2023年3月期の期末配当」の計2回を受け取ることができます。
なお、配当基準日を迎えた時点でリターンが確定したとします。
今回の検証では、以下のような想定となります。
- 株式の取得日:2022年5月16日
- 株式の取得価格:3236円
- 2023年3月期・中間配当:350円※
- 2023年3月期・期末配当:170円※
- 100株ベースの配当金のリターン:5万2000円
※2022年10月1日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行ったため、分割後で調整
それでは次に、株主優待のリターンを計算していきます。
2. 日本郵船の株主優待のリターンはいくらか
日本郵船は決算期(3月31日)現在、100株以上保有する方に向けて、飛鳥クルーズの優待割引券を提供しています。
株数に応じて、「決算期後の7月1日より翌年9月30日までのクルーズ」で「優待割引券1枚につき1クルーズ1名様10%の割引」が利用できます。
- 100株以上 1500株未満:3枚
- 1500株以上 3000株未満:6枚
- 3000株以上:10枚
今回は試算のために2022年12月25日出港の「クリスマスウィークエンドクルーズ」で客室タイプ「K:ステート」を利用していた場合14万3500円となり、概算で1枚1万4350円の経済価値と想定します。
そのため、優待のリターンは4万3050円です。
3. 日本郵船の株式投資のトータル・リターンはいくらか
以上、配当金と株主優待のリターンについて振り返ってきました。
次に、株価変動によるリターンを計算します。
- 株式の取得日:2022年5 月16日
- 株式の取得価格:3236円
- 取得から1年後の日付:2023年5 月16日
- 1年後の株価の終値:3034円
- 100株ベースの株価変動によるリターン:▲2万200円
そして最後に、トータル・リターンを計算します。
- 配当金のリターン:5万2000円
- 株主優待のリターン:4万3050円
- 株価変動によるリターン:▲2万200円
- トータル・リターン(金額ベース):+7万4850円
- トータル・リターン(%ベース):+23.1%
トータル・リターンは金額ベースで+7万4850円でした。
4. 日本郵船の配当推移を確認
日本郵船の株式の年間リターンは+23.1%でした。
最後に日本郵船の配当金の推移を確認しましょう。
今回確認したように、「配当金」「株主優待」「株価変動」に分けて考えると、より具体的なリターンを把握しやすくなります。
株式投資をする際は、配当金や株主優待の内容だけではなく、株価動向もしっかり確認しましょう。
参考資料
加藤 聖人